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9/21/2021

今日の季語 2021-4





「万愚節」
     あちこちで恋の伝達万愚節
鐘霞(かねかす)む
    つなぐ手や二つの寺が鐘霞む
「新社員」
    挨拶や偏差値露わ新社員
木の芽時(このめどき)
    静寂な生垣通り木の芽時
「清明(せいめい)」二十四節季
    清明や淡路の橋の潮流れ
花曇(はなぐもり):「養花天」
    花曇連続ドラマテーマ曲
「春荒(はるあれ)」
    春荒やどちらで送る一句二句
若鮎(わかあゆ):「稚鮎(ちあゆ)・上り鮎」
    きらきらと花びらが影上り鮎
「牧開(まきびら)き」
    牧開き一目散にあのブース
海女(あま):「海女の笛」
    てんてんと桶の揺れ音海女の笛
「山独活(やまうど)」
    山独活を判別出来ぬソロキャンプ
桜草(さくらそう):「乙女桜・雛桜」
    歓迎と法面染めて桜草
「別れ霜(わかれじも)」
    くるくると扇風機今朝別れ霜
蜃気楼(しんきろう):「海市(かいし)・喜見城(きけんじょう)」
    海の城あの人もゐぬ蜃気楼
「花水木(はなみずき)」
    向こう岸今年も咲いて花水木
伊勢参(いせまいり):「抜参(ぬけまいり)」
    追い抜かる白い航跡伊勢参 
八重桜(やえざくら):「牡丹桜」
    遅れ人八重の歓待八重桜
蜂(はち):「女王蜂・雄蜂・働蜂」「蜜蜂・熊蜂・足長蜂」
     蜜の満つタンク交換蜂の飛ぶ
「春濤(しゅんとう)」
    春濤の砕けて続く白い浜
穀雨(こくう):二十四節気
    放棄田も紫雲英田も撒く穀雨かな
残る鴨(のこるかも)
    ブラジルへ千切れてテープ残る鴨
磯開(いそびらき):「海下(うみおり)・磯の口開(いそのくちあけ)」
    焼け野原一艘も出ぬ磯開
「猫の子(ねこのこ)」
    行列へ猫の子譲る声密か
薊(あざみ):「野薊・花薊・眉はき・眉つくり」
    薊咲く野原電話ボックスへ知らせ
「春時雨」
    傘がない飛び込む先の春時雨 
炬燵塞ぐ(こたつふさぐ)
    炬燵塞ぐ四畳半テレビ体操
「豆の花(まめのはな)」
    豆の花最後のひとり村はずれ
竹秋(ちくしゅう):「竹の秋」
    人目避けはらはらと舞ふ竹の秋
「河豚供養(ふぐくよう)」
    空に舞ふぶつぶつ唱え河豚供養
勿忘草(わすれなぐさ)
    勿忘草名前と花の結びつき

今日の季語 2021-3

今日の季語 2021-03
 

ミモザ:「銀葉アカシア」
    庭園の大樹真ん中ミモザ咲く
春動く(はるうごく):「春萌す」
    空っぽのかたい鞄の春動く
雛(ひな/ひいな)
    縁ありて奇遇な出逢い吾子と雛
春の夕(はるのゆうべ/はるのゆう):「春夕(しゅんせき/はるゆうべ)」
    御膳だぞ春の夕の父の呼ぶ
啓蟄(けいちつ)
    啓蟄や虫殺させぬこの日本
観梅(かんばい)
    観梅や去年が製品並べ売り
白鳥帰る(はくちょうかえる):「白鳥引く」
    群舞して白鳥帰り点と化す
雛納(ひなおさめ):「雛しまふ」
    柔らかき和紙の年輪雛納
ものの芽(め):「芽」
    ものの芽や静かなり撮影開始
凍(いて)ゆるむ
    じわじわと万物に色凍てゆるむ
東日本震災忌(ひがしにほんしんさいき):震災忌
    白波や晴れど冷え込み震災忌
春景色(はるげしき):「春色・春景」
    染めあがる靡き手拭春景色
柳の芽(やなぎのめ):「芽柳」
    隣脱ぐ愚図愚図出来ぬ柳の芽
春嵐(はるあらし):「春荒(はるあれ)」
    ポリ袋どこまで見えて春嵐
進級(しんきゅう)
    進級や万年筆の届け物
落椿(おちつばき):「椿落つ」
    丘の上ぐるり囲みて落椿か
春北風(はるきた・はるならひ)
    ざらざらと黄色雲ゆく春ならひ
紫雲英(げんげ):「蓮華草(れんげそう)」
    伸ばして手ゴロゴロゴロと紫雲英かな
星朧(ほしおぼろ):「春星」
    ウナギパイ分けてふたつに星朧
残る雪(のこるゆき):「残雪・去年(こぞ)の雪・雪形」
    登山帽丸いアーチが残る雪
霾(つちふる)
    ふんわりと霾朝の鏡肌
春の蝿
    咲き乱る誘惑の外春の蠅
朧夜(おぼろよ)
    我が家は近し朧夜の遠吠えよ
「春の雷」
    名跡や閉ざして蕾春の雷
物種蒔(ものだねま)く:「○○蒔く」
    種を蒔く振るわれ土やふわふわと
「春服」
    春服や立ち回り見せ仕付糸
蒜(にんにく・ひる):「大蒜(おほびる)」
    就活やウーバーが箱匂う蒜
春分
    春分や禰宜ギシギシと御霊様
卒業
    卒業や忘れ去られて通信簿
沈丁花(じんちょうげ)
    防臭剤あがりはな占む沈丁花
桜雨:「花の雨」
    四ツ池や観る人もなく桜雨
    ぽつぽつと染めてや水面花の雨
    ふわりふわ作り始めて花筏

今日の季語 2021-2

今日の季語 2021-02



寒木瓜(かんぼけ):「冬木瓜」
    今朝弾く赤き寒木瓜庭の口
冬の果(ふゆのはて):「果つ・去る・送る」
    キックオフ音柔らかき冬の果て
立春(りっしゅん):「春立つ・春来る」
    春立つや未だ音も無き三時半
垂氷(たるひ):「立氷(たちひ)・銀竹」
    夜もすがらわずかに伸びて垂氷かな
二月(にがつ):「にんがつ」
    しわ寄せて予定一杯二月メモ
初午(はつうま):「一の午・午祭・三の午」
    初午やけふは賑やか煙たつ
残る寒さ(のこるさむさ):「余寒」
    盆石に残る寒さや白き形
雪割草(ゆきわりそう)
    けふは閉ず雪割草や待つ晴日
岩海苔(いわのり):「海苔」
    乱る調べ岩海苔を掻く波の息
薄氷(うすごおり):「春の氷」
    捕まえど消えて指より薄氷
春(はる)スキー
    花弁に押され登るや春スキー
踏絵(ふみえ)
    足袋の跡破れ始めて踏絵かな
芝火(しばび):「芝焼」
    煙色変えて去りゆく芝火かな
春遅(はるおそ)し:「遅き春」
    春遅し胃カメラはみず去年の跡
浅蜊汁(あさりじる):「浅蜊飯・酒蒸し浅蜊」
    初めての一人の夕餉浅蜊汁
草萌(くさもえ):「草萌ゆ・萌ゆ」
    草萌や赤き杭打ち道路際
春の雨(はるのあめ):「暖雨」
    春の雨傘もち出待ち親が群
雨水(うすい)
    舞ふような未だ柔らかき雨水かな
獺祭(だっさい:おそまつり):「獺(かわうそ)魚を祭る」
    獺祭の眺めてみたく熊村へ
白梅(はくばい):「梅白し・梅真白」
    もう遅い寺の白梅散り始む
春(はる)ショール:「春マフラー」
    シヨーウィンド歩き軽やか春ショール
寄居虫(やどかり):「がうな(>ごうな)」・ヤドカリ(宿借)
    やどかりやあらず安住殻探し
蕗の芽(ふきのめ):「蕗の薹(とう)」
    ニョキニョキと蕗の芽の伸びて受く朝日
浅春(せんしゅん):「浅き春」
    弁当や色いろいろなり浅春
菜種御供(なたねごく):「梅花祭」
    波打つ幕今朝晴れ上がり菜種御供
焼山(やけやま)
    つんつんと残り焼山道標
木の芽田楽(きのめでんがく):「田楽・田楽豆腐」
    木の芽田楽山椒の香部屋にみつ
二月逝く(にがつゆく):「逝く・果つ・尽く・過ぐ」
    人並みに動く日多く二月逝く

今日の季語 2021-01

今日の季語 2021-01



年迎(としむか)ふ:「新年・年立つ・年明くる・年越ゆ・来る年・新しき年」 
   白頁一句詠みこみ年迎ふ
初東風(はつごち)
   初東風やくるりと回り凧揚げぬ
三が日(さんがにち):「三ヶ日」
   改まり挨拶交わし三が日
破魔矢(はまや):「破魔弓」の傍題
   電車揺れ和服が胸に破魔矢かな
小寒(しょうかん)
   小寒や小波たてず池の鯉
冬障子(ふゆしょうじ):「障子」だけでも三冬の季語
   娘らが声聞こえぬか冬障子
人日(じんじつ):正月七日
   人日や母の刻みし粥かをる
松明(まつあけ):「注連(しめ)明」
   松明や釘の間隔広めたり
歯固(はがため)
   歯固に外し金冠治して歯
猿曳・猿引(さるひき)
   猿引や指でくるりと宙返り
鏡割(かがみわり)
   女子社員才槌効かぬ鏡割
初句会(はつくかい):「句会始・初運座」
   電子辞書変えて臨むや初句会
白鳥(はくちょう):「スワン・黒鳥」
   白鳥や波もたてずと湖上ゆく
餅の花(もちのはな):「花餅・餅木」
   しなる枝障子に映り餅の花
小正月(こしょうがつ)
   七並べ叔母もかたせて小正月
雪掻(ゆきかき):「雪掻く・雪除け」
   後ろから追ひて雪掻き降り積もり
阪神忌(はんしんき):「阪神淡路震災忌・関西震災忌」
   ダンプ通る揺れの記憶や阪神忌
霜焼(しもやけ)
   霜焼や翳して火鉢熱き足
薬喰(くすりぐい):「寒喰(かんぐい)」
   天井に湯気をあげるや薬喰
大寒(だいかん)
   大寒や耳鳴り在庫総披露
冬凪(ふゆなぎ):「寒凪・凍(いて)凪」
   冬凪や時々ぴょんと兎島
雪礫(ゆきつぶて):「雪丸(まろ)げ・雪ころばし」
   こきこきと鳴るや大きく雪礫
寒烏・寒鴉(かんがらす):「冬鴉」
   夕日染む羽の疲れて寒鴉 
天狼(てんろう):「青星(あおぼし)・狼星(ろうせい)」「シリウス」の青白い光
   天狼や群れず野原の立ち別れ
寒泳(かんえい):「寒泳ぎ」
   寒泳や消て水滴手をかざし
寒椿(かんつばき)
   棚田へとひとつ咲かせて寒椿
   寒椿ひとつだけあり棚田道
採氷(さいひょう):「氷切る・氷挽く」
   氷切るよしの一声響く湖
裸木(はだかぎ):「枯枝・枯木立」
   裸木や峠は遥か道標
冬安居(ふゆあんご):「雪安居」
   灯明の揺れぬ静寂冬安吾
寒卵・寒玉子(かんたまご)
   産みたてや温み消えゆく寒卵
滝凍(たきい)つる:「凍滝(いてだき)・冬の滝・氷瀑」
   通学路坂の真ん中滝凍つる

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9/20/2021

index

今日の季語 2020-12

今日の季語 2020-12




寄せ鍋
    寄せ鍋や妻の手の出ぬ奉行が手
冬の波(ふゆのなみ):「寒濤(かんとう)」
    低き雲高々飛沫冬の波
手袋(てぶくろ):「手套(しゅとう)」
    手袋を見せて太陽指の間に
冬木立(ふゆこだち):「寒林」
    透けて空星散りばめて冬木立
炬燵(こたつ)
    のぼせ顔吾子かくれんぼ炬燵かな
麦の芽(むぎのめ):「芽麦(めむぎ)」
    枯れ畑に麦の芽清し誘ふ触れ
大雪(たいせつ)
    大雪や厚手靴下なくて穴
十二月八日(じゅうにがつようか):「開戦日」
    防波堤波立つ十二月八日
鱈・雪魚(たら):「真鱈・本鱈・鱈場・鱈網・鱈汁」
    夕餉にと鱈の切身を籠に入れ
風邪(かぜ):「感冒・鼻風邪・風邪声(かざごえ)・流感」
    夢壊れスマホが具合風邪の声
鮟鱇鍋(あんこうなべ):「鮟鱇汁・きも和え・七つ道具」
    鮟鱇鍋大吟醸も燗で添え
猟犬(りょうけん):「狩の犬」
    猟犬や本領発揮何を追ふ
枯茨(かれいばら):「茨枯る」
    棘開くジーパンをひく枯茨
凍空(いてぞら):「寒空・冬天」
    凍空やガラスにありて赤い星
膝掛(ひざかけ):「膝毛布」
    膝掛や今朝の冷え込み温き柄
人参(にんじん)
    人参のにほひ未の世はびこりか
冷(つめた)し:「底冷え」
    弱けれど風の冷しシーパップ
年の内(としのうち):「年内」
    締切とせねばならぬが年の内
寒禽(かんきん):「かじけ鳥」
    寒禽の群やいずこと鳴き渡り
煤掃(すすはき):「煤払」
    風の止み障子外して煤掃きぬ
冬至(とうじ)
    皮硬き冬至の南瓜色づけり
飾売(かざりうり):仲冬の生活季語で「注連(しめ)売」
    定点の決め場所にゐぬ飾売
風呂吹(ふろふき):「風呂吹大根」
    風呂吹や口紅沁みておもひ当て
荒星(あらぼし):「寒星・凍て星・星冴ゆ」
    赤き荒星梢が中へひと休み
聖樹(せいじゅ):「クリスマスツリー」
    出窓にも小さき聖樹や灯りたり
息白(いきしろ)し:「白息(しらいき)」
    先頭の小さき白息汽車ごっこ
室咲(むろざき):「室の花」
    室咲や部屋の景色の華やかさ
歳晩(さいばん):「年の暮・年の瀬・年の名残・年尽く」
    歳晩や左に電話押す判子
仕事納(しごとおさめ):「御用納・御用終(ごようじまい)」
    餅供え仕事納もしまいなり
暦果(こよみは)つ:「古暦・暦古る・暦の末」
    人生訓破り棄てられ暦果つ
年の夜(としのよ):「除夜」
    耳鳴りも年の夜何処先に去り


今日の季語2020/11月  今日の季語2021/1月

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今日の季語 2020-11

今日の季語 2020-11


秋寂(あきさ)び:「秋寂ぶ」
    秋寂ぶや葉の減り徐々に先の見え
漸寒(ややさむ):「やや寒し」
    漸寒し布団を手繰る夢の中
酢橘(すだち):晩秋の植物季語「木酢(きず)」
    熱豆腐酢橘のかをる湯気のなか
冬近(ふゆちか)し:「冬隣(ふゆどなり)・冬を待つ」
    蜘蛛糸に枯葉やまわる冬近し
晩菊(ばんぎく):晩秋の植物季語
    晩菊や数多の敵を倒したり
行く秋(ゆくあき):「秋の別れ・秋の果て・秋の名残」
    行く秋や荒野に人の影もなく 
立冬(りっとう):「冬立つ・冬来る・今朝の冬」
    生垣の蔓も枯れ切れ今朝の冬
枯柳(かれやなぎ):「柳枯る・冬柳」
    カラフルな看板見えて枯柳
虫老(むしお)ゆ:「冬の虫・虫絶ゆ」
    虫老ゆも今朝の耳鳴り多彩なり
跳(なわとび):「綱跳・ゴム縄飛び」
    縄跳やだんだん増える記録帳
毛布(もうふ):「電気毛布」
    ヒーローに毛布広げて飛び下りて
帰り花(かえりばな):「返り咲き・忘れ花」
    ふたつみつ隠れるように帰り花
焼鳥(やきとり)
    焼鳥や恋も煙も過去も消ゑ
酉の市(とりのいち):「熊手・一の酉・二の酉・三の酉」
    宵闇に響く下駄音酉の市
毛糸編(けいとあ)む:「毛糸・毛糸玉」
    目は我が子母はぺちゃくちゃ毛糸編む
暮早(くれはや)し:「短日・暮易(くれやす)し・短景」
    暮早し押してシャッター夕景色
水鳥(みずとり):「浮寝鳥」
    水鳥や朝の鳴き声過疎地にも
木の葉髪(このはがみ)
    新聞紙梳く柘植とまり木の葉髪
蕎麦湯(そばゆ)
    ひびの入る自作の湯呑蕎麦湯飲む
夜咄・夜話(よばなし):「炉辺咄(ろへんばなし)・夜咄茶事(ちゃじ)」
    夜咄やねずみ聴き来て梁の上
焼芋・焼藷(やきいも):「石焼芋・栗(九里)・八里半」
    サンダルや石焼き芋が笛を追ひ
小雪(しょうせつ)
    小雪や闇夜白々干す野菜
凩・木枯(こがらし)
    白波や木枯らしは行く湖の上
冬の暮(ふゆのくれ):「寒暮(かんぼ)」
    煮えたろか炭は足さなく冬の暮
冬木の芽(ふゆきのめ)
    辿り着き街の外れに冬木の芽
芭蕉忌(ばしょうき):「桃青忌・翁忌・時雨忌」
    芭蕉忌や荒れ野さまよふ今朝の夢
神無月(かんなづき):「時雨月・初霜月」
    けふ試験誰に頼むか神無月
千鳥・鵆(ちどり):「浜千鳥・小夜千鳥」
    大波を細かき運び千鳥逃ぐ
切干(きりぼし):「切干作る・切干大根」
    母鼻歌切干作り白き山
毛皮(けがわ)
    毛皮コート質屋の出窓艶やかに

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今日の季語 2020-10

今日の季語 2020-10



良夜(りょうや):「良宵・佳宵」
   歩きたき早くゆっくり良夜かな
秋の七草(あきのななくさ)
   土手整備秋の七草なくなりて
障子洗(しょうじあら)ふ  
   破りて良い障子洗ふが楽しみで
秋冷(しゅうれい):「冷やか・冷ゆ・ひえびえ」
   秋冷や豚の背中をぺたぺたと
木賊(とくさ):「木賊刈る」
   公民館一株隅へ木賊植ふ
氷頭膾(ひずなます):「氷頭」
   氷頭膾酢加減のよく噛み心地
豊年(ほうねん):「豊作・豊(とよ)の秋・出来秋」
   豊年や黄金の波押し寄せり
寒露(かんろ)
   ウオーキングクローゼット悩まず着替寒露かな
新松子(しんちぢり):「青松笠」
   遊び飽き泥をかぶりし新松子
うそ寒(さむ):「薄寒・うすら寒」
   うそ寒や先月号が見当たらず
林檎(りんご):「紅玉」など
   寒さ添え林檎一箱送り着く
草紅葉(くさもみじ):「草の錦・色づく草」
   三方原いくさが跡の草紅葉
今年酒(ことしざけ):「新酒」傍題「新走・利酒」
   酒蔵を並べ六本今年酒
茱萸(ぐみ):「夏茱萸・秋茱萸・茱萸酒」
   食わぬ母茱萸が味知り四十歳
鵙の贄(もずのにえ):「鵙の早贄・鵙の草茎(くさぐき)」
   手の届きすぐに見つかり鵙の贄
梅擬・梅嫌(うめもどき):白梅擬
   夕日受くますます紅く梅擬
相撲草・角力草(すもうぐさ・すまいぐさ):「相撲取草・力草」
   手刀に負けぬ強さや相撲草
きりたんぽ:「たんぽ餅」
   あがる湯気串の突き出てきりたんぽ
秋果・秋菓(しゅうか):「秋の果物」
   風届く遺影の前に秋果上げ
囮(おとり):「囮番・囮籠」
   もちが枝紅い実の待つ囮籠
野山の錦(のやまのにしき):「秋の錦・野山の色」
   額におさめたき野山の錦かな
秋気(しゅうき):「秋の気」
   種々の膨らみ始め秋気かな
霜降(そうこう):二十四節気季語
   霜降に帽子屋展示変えてみて
火恋(ひこい)し:「炉火恋し」
   障子閉め座るに座れず火の恋し
登高(とうこう)
   登高へ健脚参加卒寿かな
崩れ簗(くずれやな)
   清流も洪水の積む崩れ簗
金柑(きんかん):「金橘(きんきつ)・姫橘」
   鈴なりも金柑喰えず腹すけど
爽籟(そうらい):「秋風」の傍題の一つ
   爽籟や対岸灯る観覧車
柿(かき):晩秋の植物季語「渋柿・甘柿・百目柿・次郎柿」
   猿落とし狸が化かし甘し柿
   落とす猿化かして狸甘き柿 
松茸(まつたけ):「土瓶蒸し」
   はらり松葉待つは松茸我を待つ
ハロウィーン・ハロウイン:「万鬼(ばんき)祭・万妖祭」
   ハロウィーン便乗開くスキー場

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今日の季語 2020-09

今日の季語 2020-09



休暇明(きゅうかあけ):「休暇果つ・冬休・春休・明ける」
    うつすらと机に埃休暇明
秋の蝉(あきのせみ):「秋蝉(しゅうせん)・残る蝉」
    耐えられぬ猛暑に負けて秋の蝉
稲雀(いなすずめ):「秋雀」
    天竜の河原見下ろし稲雀
馬鈴薯(ばれいしょ・じゃがいも)
    馬鈴薯やごろごろでかきカレーかな
地虫鳴(じむしな)く:「地虫・すくもむし・蚯蚓鳴く」
    地虫鳴く高音で鳴く仲間ゐて
茗荷の花(みょうがのはな)
    茗荷の花白く短き畑の隅
白露(はくろ)
    女医と会ふ術後検診白露かな
玉蜀黍(とうもろこし):「もろこし・唐黍(とうきび)・南蛮黍・なんばん」
    玉蜀黍皮剥かずままレンジチン
秋遍路(あきへんろ)
     ごろごろ石足に冷たき秋遍路
ピーマン:「唐辛子」の傍題
    おもひだすピーマン丸煮あのにほひ
風船蔓(ふうせんかずら)
    棚田道風船蔓虫招き
秋簾(あきすだれ・あきす):「簾納む・簾外す」などとも
    新築やそぐわぬ秋簾未だ立てり
秋場所(あきばしょ):「九月場所・相撲」
    秋場所や大物喰ひの小兵達
碇星(いかりぼし):「カシオペア・山形星」
    湖写すきみのイニシャル碇星
竹伐(たけき)る
    竹伐りて籠屋一人で山と積み
鮭(さけ・しゃけ):「秋味」
    網が待つ千代田えん堤鮭が群れ
思草(おもいぐさ)
    うなだれてこの手離さじ思草
添水(そうず)「ばったんこ」
    庭の石叩き一鳴添水かな
子規忌(しきき):「糸瓜忌(へちまき)・獺祭忌(だっさいき)」
    降り立ちぬ蛇口ジュースや子規忌かな
杜鵑草・時鳥草(ほととぎす):「油点草」
    つるくさに絡み付かれて杜鵑草
虫籠(むしかご・むしこ)
    虫籠や草むらやたらかき分けて
秋分(しゅうぶん)
    禰宜来たり秋分の祝詞高らかに
秋興(しゅうきょう):秋の遊び (あきのあそび)
    秋興や浜辺の町で鹿踊り
紫苑(しおん)
    皆召され誰も居ぬ庭紫苑咲く
不知火(しらぬい):「龍燈」
    不知火の元にいた舟父は見ず
鮞(はららご):「筋子・イクラ」
    函館や腹いっぱいにイクラ丼
秋の雨(あきのあめ):「秋雨(あきさめ)・秋霖(しゅうりん)」
    秋雨や短冊雑に読まれけり
鮭颪(さけおろし)
    堰堤やひかる銀鱗鮭颪
海猫帰(ごめかえ)る
    鳴き声の聞こゆ遠くへ海猫帰る
生姜(しょうが)
    Aランチこの店かをる生姜焼き

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今日の季語 2020-08

今日の季語 2020-08



涼(すず)み「涼む」 
    じっとせず川辺に求む夕涼み
登山(とざん):「山小屋・登山杖・ザイル」
    参千米越してはじめて登山口
日盛(ひざかり)「日の盛り」
    日の盛り頬に墨塗る一塁手
夏の月(なつのつき)
    明日も会ふ靴音高き夏の月
熱帯夜(ねったいや)
    ポンプの音水滴流る熱帯夜
炎(も)ゆ
    炎ゆる地や抱える資料打合せ
立秋(りっしゅう)
    立秋の田白鷺家族舞い降りぬ
藪虱(やぶじらみ)「草虱」
    トレッキングシューズきのふ山から藪虱
鯊釣(はぜつり)
    鯊釣や素人相手が忙しく 
鬼灯・酸漿(ほおずき)
    酸漿の種取だけが上手くなり
赤蜻蛉(あかとんぼ)「秋茜・のしめ」
    返す翅七色やわき赤蜻蛉
阿波踊り(あわおどり)
    踊りたく踊り心の阿波踊
盆休み(ぼんやすみ)
    風わたる人居ぬ田圃盆休み
蟿螽・飛蝗(はたはた):「ばった」「きちきち」
    分け入ればばった一斉散り散りぬ
色なき風(いろなきかぜ):「風の色・素風(そふう)」
    絶えられぬ突っ張り消えて風の色
精霊舟(しょうりょうぶね)「盆舟・灯籠舟」
    哀しみも精霊舟と流しましょ
秋海棠(しゅうかいどう):「断腸花・断腸亭」
    秋海棠昔より咲き殿の庭
放屁虫(へひりむし):「へっぴり虫・へこき虫・亀虫」
    わかりながらもへっぴり虫の臭い嗅ぎ
狗尾草(えのころぐさ・えのこぐさ):「ゑのころ・猫じゃらし」
    戯れて犬がくしゃみか猫じゃらし
初秋はつあき・しょしゅう):「新秋・秋浅し」
    初秋や口笛を吹く隣りの子
星月夜(ほしづきよ・ほしづくよ):「星明り」
    きれいねと貴女が言った星月夜
藪枯(やぶから)し:「貧乏葛」
    くるくるとまわるあげはや藪枯し
処暑(しょしょ)
    グリーンカーテン伸びきらず終わり処暑かな
虫(むし):「虫の声・虫時雨」
    足音に合わせてぱたり虫の声
星合(ほしあい):「星逢ふ夜・別れ星」
    小夜更けて星合眺めきみ想ふ
秋の浜(あきのはま):「秋渚(あきなぎさ)・秋汀(しゅうてい)」
    何もない砂だけ続き秋の浜
今日の季語 爽(さわ)やか:「さやか・さやけし・爽やぐ」
    わだかまり爽やかな朝消え去りぬ
秋団扇(あきうちわ):「団扇置く・捨団扇・秋扇」
    来年の出番備えて秋団扇
ホップ:「唐花草・ホップ摘む」
    旅行鞄僅かに残りホップの香
浮塵子(うんか):「糠蝿(ぬかばえ)・雲霞のごとき」
    ヘッドライト光軸の先浮塵子占む
青瓢(あおふくべ):「瓢箪・ひさご」
    棚一番幾つも出来て青瓢

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今日の季語 2020-07

今日の季語 2020-07



辣韮(らっきょう)
    デミジョンボトル漬けし辣韮一個ずつ
魚簗・簗(やな)
    銀輪をなりて子供に簗の上
吊忍・釣忍 (つりしのぶ)
    吊忍外から観たく止むを待ち
簾(すだれ)
    沈む日や巻き揚ぐ簾紐重し
南瓜の花(かぼちゃのはな)
    露踏みて南瓜の花を探す朝
梅雨空(つゆぞら)
    ジェットコースター今梅雨空のてっぺんに
小暑(しょうしょ)
    寝覚め床汗もかかずに小暑かな
団扇・団(うちわ)
    風を切るあおぐ団扇ぞ闇の中
青田(あおた)
    父を追ふペダルの重き青田道
辱暑(じょくしょ)
    なにもかも洪水奪ふ辱暑かな 
汗拭ひ(あせぬぐい)
    手をのばし風に乗りゆく汗拭ひ
送り梅雨(おくりづゆ)
    東京タワー赤よみがえり送り梅雨
冷酒(ひやざけ・れいしゅ)
    海の青けふが釣果や冷酒つぐ
烏賊釣(いかつり)
    こうこうと海なめらかに烏賊釣火
熱帯魚(ねったいぎょ)
    泡弾き静寂のなき熱帯魚
冷麦(ひやむぎ)
    冷麦や父がこだわり茹で加減
紙魚・衣魚(しみ)
    現行犯糊の食み跡紙魚がいて
睡蓮(すいれん)
    睡蓮の葉も焼け熱き池の水
白鷺(しらさぎ)
    じっといて白鷺一羽岸辺にて
月下美人(げっかびじん)
    月下美人視線逸らせば開ききり
雲海(うんかい)
    雨上がり雲海が上友と逢ふ
天瓜粉・天花粉(てんかふん)
    あやし声まだら模様が天花粉
海水浴(かいすいよく)
    水着が闊歩海水浴が見える街
端居(はしい)
    照らす庭柱背にして端居かな
夕焼(ゆうやけ・ゆやけ)
    自販機や新発売誘う夕焼
キャンプ:「キャンプファイヤー・キャンプ村・テント・オートキャンプ」
    不機嫌めくキャンプの朝のむくれ顔
大暑(たいしょ)
    一枚減り大暑の午前葉書書き
日焼け(ひやけ)
    歯が白き鏡が中の日焼け顔
蚊遣火(かやりび)
    蚊遣火や伸びる一筋夕静か
跣足・裸足(はだし):「はだ(肌)あし(足)」「素足」
    熱き砂丘裸足で登る中田島
夜釣(よづり)「夜釣火・夜釣舟」
    大物としびれる竿と夜釣かな
涼(すず)み「涼む」
    じっとせず川辺に求む夕涼み

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今日の季語 2020-06


今日の季語 2020-06



薔薇(ばら)
    水切りて一日伸びる薔薇が首
夏服(なつふく)
    カシミアの朝の夏服抜ける風
代田(しろた)
    風静か代田がうつす逆さ富士
蠅(はえ)
    待ての声涎垂らして蠅睨む
芒種(ぼうしゅ)
    こんこんと芒種の水や湧き出でり 
葛練(くずねり)
    葛練やとまる吾子の目浮く景色
蟷螂(とうろう・かまきり)生まる
    シュミレーション蟷螂の子切る空気
栗の花(くりのはな)
    傘の夜鼻を曲げるか栗の花  
河鹿(かじか)
    夕暮れや暑さも招く河鹿鳴く
五月(皐月)富士(さつきふじ)
    東へ走るボンネットの皐月富士
茄子の花(なすびのはな)
    棘らしい茄子の花に近付けば
梅雨(つゆ・ばいう)
    何もかもべとっとしたり梅雨の今朝
焼酎(しょうちゅう)
    焼酎の梅割溢る縄のれん 
蝉生(せみうま)る
    蝉生るスローモーション朝ドラマ
破れ傘(やぶれがさ)
    経を読む小坊主一人破れ傘
海亀(うみがめ)
    海亀や重い足跡ならす波
釣り堀(つりぼり)
    釣り堀や大声出さず二メートル 
ギヤマン・切り子・ビードロ
    怖々とギヤマン切り口撫でしども
明易し(あけやすし)明早し・明急ぐ
    CPAP唇明けて明易し
南天の花(なんてんのはな)
    南天の花越して生垣朝日受く
夏至(げし)
    布団どこ肌の冷たい夏至の朝
桑の実(くわのみ)
    染める口食い放題が桑の実が
藻の花(ものはな)
    首を出し息継ぎ藻の花せわしけり
青蛙(あおがえる)
    逃げ込めど背中丸見え青蛙
蛍(ほたる)
    解き放す蚊帳の中舞ふ初蛍
梅雨寒(つゆざむ)
    梅雨寒や振り払い乗る終電車
昼顔(ひるがお)
    庭の端あるじゐぬ昼顔の色
苔茂(こけしげ)る
    樹形より褒める緑の苔茂る
さくらんぼ
    さくらんぼ口の動きや午如し
蚤(のみ)
    ぴょんぴょんと蚤を見つけて掛け布団

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今日の季語 2020-05

今日の季語 2020-05
 


八十八夜(はちじゅうはちや)
    かをり占む八十八夜のお茶工場
明日葉(あしたば)
    明日葉やおひたし似合う夕餉皿
松の緑摘む(まつのみどりつむ)
    揺れ脚立指は松脂緑摘む
行く春(ゆくはる)
    ゆく春やスーツケースの重きこと
立夏(りっか)
     大忙し立夏の朝の大寝坊
卯月(うづき)
    朝曇り脛の冷たき卯月かな
苗売(なえうり)
    並ぶ穴苗売を待つのばす腰
麦飯(むぎめし・むぎいひ)
    麦飯や箸からこぼる粒を噛む
新樹(しんじゅ)
    こぼる光新樹が山へ未知の道 
青葉潮(あおばじお)
    赤鳥居光も流る青葉潮
鹿の子(しかのこ・かのこ)
    角につく鹿の子三匹けもの道
薪能(たきぎのう)
    あの人が声音新た薪能
泉(いずみ)
    三密を守りて泉しし集う
萍(うきくさ)
    萍や櫓音がリズム響く朝
祭(まつり)
    トンチンシャン祭囃子が京都駅
竹落葉(たけおちば)
    抜け道や隠して見せぬ竹落葉
芍薬(しゃくやく)
    芍薬や一株自慢父が植ふ
鵜飼(うかい)
    見たくなし他人の仕事鵜飼かな
水中花(すいちゅうか)
    いつまでも萎れを知らぬ水中花
小満(しょうまん)
    小満や棚田に映る空の青
麦の秋風(むぎのあきかぜ) 麦の秋風
    顔で受く麦の秋風背伸びして
毛虫(けむし)
    毛を吹かせ毛虫が速き木登りよ
空豆・蚕豆(そらまめ)
    蚕豆剥く莢の重さや実の重さ
麦刈(むぎかり)
    弟うしろ母と競いて麦刈りぬ
苺(いちご)
    植ふ苺友食わずして居ぬるとは
鮑・鰒(あわび)
    裏隠す光る七色鮑かな
雛罌粟(ひなげし)
    雛罌粟や吾子の暴投花弁よ
朴の花(ほおのはな)
    梢より芳香おろす朴の花
晶子忌(あきこき)
    晶子忌や煮込む餡子の緑色
青嵐(あおあらし)
    投げてみる往還の石青嵐
蕗(ふき)
    戯れに蕗をかぶりて雨の道

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今日の季語 2020-04

今日の季語 2020-04



シクラメン
    シクラメン残るセロハン色褪せて
熊穴を出づ(くまあなをいず)
    寝ぼけ顔熊穴を出づ鮭の稚児
北窓開く(きたまどひらく)
    北窓を開く眩い朝日枝に鳴く
清明(せいめい)
    清明の朝足が出ている手も出でて
若草(わかくさ)
    若草や触りたくなる揃い方
入学(にゅうがく)
    入学祝父のうんちくコードバン
レタス
    冷蔵庫好きになれないレタスかな
花疲(はなづかれ)
    人知れぬベストポジションへ花疲
落し角(おとしづの)
    角落ちて優し眼差し若草山
蛤(はまぐり)
    蛤の紐食べ集む貝合わせ
日永(ひなが)
    中田島日永数える波の音
落花(らっか)「花吹雪」「花散る」「花埃(はなぼこり)」
    落花絨毯宅配便は踏む通り
啄木忌(たくぼくき)
    日記帳白きを捲る啄木忌
桜蝦(さくらえび)
    赤絨毯拡げ振り撒く桜蝦
アスパラガス
    家庭菜園アスパラガスを手始めに
蛙の目借り時(かわずのめかりどき)
    第百条声が遠のく目借り時
草餅(くさもち)
    熱々のきな粉もかをる草の餅
鳥曇(とりくもり)
    群なす赤い風船鳥曇
穀雨(こくう)
    痩せ畑芋の芽伸びる穀雨かな 
春の川(はるのかわ)
    春の川振り返りゆく妻看れず
囀(さえずり)
    いろいろな鎮守の森が囀よ
春暑し(はるあつし)
    右頬へ噴水かかる暑し春
畦青む(あぜあおむ)
    畦青むどこまでも青帰り道
野遊(のあそび)
    誘えないひとり野遊つづく夢
独活(うど)
    地下室へ照らす白肌独活高し
藤(ふじ)
    高貴な色絨毯を敷く藤の下
鐘供養(かねくよう)
    雑音消ゆ音消える迄鐘供養
春鰯(はるいわし)
    会いに来る群れの先頭春鰯
踏青(とうせい)
    電波塔頂目指し青き踏む 
荷風忌(かふうき)
    縄暖簾冷えた肴が荷風の忌

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今日の季語 2020-03

今日の季語 2020-03




恋猫(こいねこ)
    恋猫の声今宵は遠き相手なり
春光(しゅんこう)
    春光やそこここ光る庭の朝

 
雛飾り(ひなかざり)
    緋毛氈魔除け眩い雛飾り 
まんさく
 訪ね人あのまんさくとイーゼルを
啓蟄(けいちつ)
    啓蟄や大戸開ければ待つやきみ
雪解(ゆきどけ)
    雪解を汚れ熊笹待ちて立ち
木の芽(このめ)
    摘み集む木の芽ご飯がかをる朝 
春場所(はるばしょ)
    春場所や大関とりとなりやいな
受験生(じゅけんせい)
    朝日受け黙し一列受験生
春の月(はるのつき)
    甘そうな舌伸ばしたし春の月
海豹(あざらし)
    海豹の欠伸に拍手人の山
水取(みずとり)
    水取はけふ目に浮かぶ散る火の粉
垣繕ふ(かきつくろう)
    垣繕ふ結び目かたく波打ちて
種選(たねえらび・たねより) 
    盆かしげ豆がコロコロたねよりぬ
雪解雫(ゆきげしずく)
    甍より雪解雫が穴続き
柳絮(りゅうじょ)
    棚田道一筋となり柳絮かな
春社(しゅんしゃ)
    パラパラと忘れず降らす春社の日 
蟻穴を出づ(ありあなをいず)
    大慌て蟻穴を出づ殺虫剤
韮(にら)
    レバ韮や大人となりたよいかをり
春分(しゅんぶん)
    春分や祝詞をながす雨つよし
彼岸西風(ひがんにし)
    玉串を持ち去らぬかと彼岸西風
春の雲(はるのくも)
    春の雲鳥飛去りて広き湖
観潮(かんちょう)
    観潮船流さる筋を逃げる舵 
野蒜(のびる)
    泥を塗る畦跳ね返す野蒜かな
春の夢(はるのゆめ)
    吟行へ忘れし春の夢
海明(うみあけ)
    海明がく来る軋む音遠ざかる
苗木市(なえぎいち)
    いつ頃が食べ頃なのか苗木市
蕨狩(わらびがり)
    マークせど辿り着けない蕨狩
雪崩(なだれ)
    雪崩の音朝の微睡煙草の火
春装(しゅんそう)春服(はるふく・しゅんぷく)
    コート脱ぐ恥かみみせる春の服
引鴨(ひきがも)鴨帰る
    鴨帰る湖が広さや餌重し

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今日の季語 2020-02


牡蠣剥(かきむ)く
    殻放る白き軍手が牡蠣を剥く
春待つ(はるまつ)
    春待つも冷たき鳴るやけふの雨
追儺(ついな)
    父の背や追儺が列をそつと見て
立春(りっしゅん)
    立春や一粒があり座敷かな
堅雪(かたゆき)
    堅雪や昨夜が句会下駄の跡
栄螺(さざえ)
    禄剛の日差しをうけて栄螺丼
焼野(やけの)
    踏み入ればふわりと舞うや焼野かな
遅春(ちしゅん)
    偏西風へそ曲げ寒し遅春かな
凧(たこ)
    縛り忘れ糸は出てゆく凧はゆく
海苔掻き(のりかき)
    海苔掻きや手口目耳と波の息
二月(にがつ)
    餅もなくパンがおいしい二月かな
菜の花忌(なのはなき)
    ゆったりと暗闇帰る菜の花忌
鶯餅(うぐいすもち)
    白餡を鶯餅に包む母
白魚(しらうお)
    半透明白魚泳ぐガラス鉢
絵踏(えぶみ)
    壁飾る黒づむまわり絵踏かな
種芋(たねいも)
    芽を出さぬ日待つ種芋土の中
春淡し(はるあわし)
    墨香るけふから習ふ春淡し
藪椿(やぶつばき)
    古より丘に一本藪椿
雨水(うすい)
    教室の書初め外す雨水かな
田螺和(たにしあえ)
    薄曇りバケツ一杯田螺和
梅(うめ)
    いつ咲かぬ梅戸惑いし温し日々
春の鹿(はるのしか)
    足並みを揃えて奈良へ春の鹿
蜆汁(しじみじる)
    味噌の香に負けたり今朝の蜆汁
春の空(はるのそら)
    彼女去る堤が上春の空
剪定(せんてい) 
    自分流剪定鋏いれ過ぎて
春の土(はるのつち)
    やわらかく鍬を迎える春の土
白子干(しらすぼし)
    白子干いきが良いやつこぼれ出て
春炬燵(はるごたつ)
    靴下脱げ春炬燵の脚脛毛抜け
古巣(ふるす)
    電線鳴く鴉が古巣声合わし

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今日の季語 2020-01



初東雲(はつしののめ)
    列なして初東雲が坂登り
初夢(はつゆめ)
    初夢や叶わぬ体跳び廻る
雑煮祝ふ(ぞうにいわう)
    焦げ目つけ三つ葉もかをる雑煮かな
鏡餅(かがみもち)
    搗きあがる鏡餅より丸めたり
破魔弓・浜弓(はまゆみ)
    ガラス拭く破魔弓奏でオルゴール
小寒(しょうかん)
    小走りて小寒の朝ゴミ袋
松納(まつおさめ)
    今日からは元の生活松納め
寒鯉(かんごい)
    寒鯉や傾き泳ぐ狢川
手毬(てまり)
    母は巻くガラスケースへ手毬かな
重ね着(かさねぎ)
    重ね着て健やか素振り痩せ身かな
新海苔(しんのり)
    新海苔や昔が香る朝餉かな
寒風(かんぷう)
    寒風やたたく雨戸は不審者か
氷柱(つらら)
    洞窟の氷柱半分折れていて
粥施行(かゆせぎょう)
    列の先湯気立ち上る粥施行
風巻(しまき)「雪しまき」「しまき雲」
    雪しまき灯す一部屋揺れし影
湯冷(ゆざ)め
    読み終えて蒲団引っぱる湯冷めかな
寒土用(かんどよう)
    波打ち際音も聞こえぬ寒土用
凍滝(いてだき)
    凍滝や記事に誘われ山入れど
紙漉(かみすき)
    天井へ雪光さす紙漉場
大寒(だいかん)
    底冷え無し手も温かき大寒日
寒鴉(かんがらす)
    一羽だけ夕空西へ寒鴉
冬深し(ふゆふかし)
    直立し物みな硬し冬深し
狩人(かりうど)
    脱走獣狩人の銃街に出る
鎌鼬(かまいたち)
    身構えて指先念じ鎌鼬
寒蜆(かんしじみ)
    寒蜆じやりといわぬ噛み心地  
葉牡丹(はぼたん)
    葉牡丹や三年ぶりの四人組 
霜(しも)
    霜よけのプロペラ光るお茶畑
昴(すばる)
    我はゆく昴流るるレコード屋
氷湖(ひょうこ)
    お元気ですか幸せですか氷湖にて
臘梅・蠟梅(ろうばい)
    昇る陽や花弁透ける蠟梅よ
手足荒(てあしあ)る
    新妻や主婦に変わりて手足荒る

今日の季語 2019-12



火の番(ひのばん)
    上弦や遠くから響く火の番の柝
日向ぼこ(ひなたぼこ)
    愛犬と背に受け読書日向ぼこ
冬の雨(ふゆのあめ)
    温暖化激し降りでも冬の雨
屏風(びょうぶ)
    屏風美人顔を背けてあがりはな
海豚(いるか)
    水平線海豚は跳ねるシルエット
牡蠣(かき)
    羽根の味焦げた小麦粉牡蠣ソテー
大雪(たいせつ)
    一人減る大雪の日電話かな
笹鳴(ささなき)
    生垣や笹鳴わたる影ひとつ 
ならい
    ならいやむ風紋かわる中田島
    横に越すホイールカバーならい追ふ
冬景色(ふゆげしき)
    風荒るる風紋流る冬景色
水洟(みずばな)
    正常に観察出来ぬ水洟よ
冬の浜(ふゆのはま)
    ランデブー鳥舞い上がる冬の浜
鴛鴦(おしどり)
    鴛鴦や前に後ろとかごのなか
冬の服(ふゆのふく)
    いつまでもはたけば匂ふ冬の服
雪吊(ゆきつり) 
    照らし出す雪吊白き今朝の庭
葱鮪(ねぎま)
    味噌仕立て丼どんと葱鮪かな
歳暮祝(せいぼいわい)
    初めての歳暮祝は忙しくも
歳暮祝(せいぼいわい)
    初めての歳暮祝は忙しくも
冬の空(ふゆのそら)
    白き雲浮かびて流る冬の空
枯葉(かれは)
    枯葉舞う十字路真ん中人を待つ
賀状書く(がじょうかく)
    賀状書くだけの友また一人減り
潤目鰯(うるめいわし
    服へにも潤目鰯の煙染む
冬至(とうじ)
    冬至の朝鋏をいれる冷たい実
名の草枯る(なのくさかる)
    蔦枯るや変わらぬ配置寺の紅
ポインセチア
    ポインセチア在庫一掃模様替え
聖菓(せいか)
    食べてみるチョコのカード聖菓かな
年の瀬(としのせ)
    年の瀬や子年が暦土管積み
社会鍋(しゃかいなべ)
    暗闇に囲む人いる社会鍋
冬の星(ふゆのほし)
    きらめく赤梢の上に冬の星
古日記(ふるにっき)
    コーラス部声の変わりが古日記
年惜しむ(としおしむ)
    片付けの煙真っ直ぐ年惜しむ

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今日の季語 2019-11



吊し柿(つるしがき)
    吊し柿甘さますます空の青
初猟(はつりょう)
    初猟や散弾の雨屋根鳴らす
文化の日(ぶんかのひ)
    戦争放棄理念薄れる文化の日
秋寂ぶ(あきさぶ)
    秋寂ぶや廊下磨かる糠袋
雪迎へ(ゆきむかえ)
    羽風のり朝日に伸びる雪迎へ
酸橘(すだち)
    評価にはあまりの酸味酸橘かな
秋惜しむ(あきおしむ)
    屋上や緑少なし秋惜しむ
立冬(りっとう)
    目に余る食い溜め腹が今朝の冬
鯛焼(たいやき)
    行列に加わり並ぶ鯛焼屋
木の葉(このは)
    木の葉山一際紅く栞かな
雑炊(ぞうすい)
    雑炊に汁も残らぬけふの鍋
木菟(みみずく)
    木菟や今宵の居間が静かなり
冬浅し(ふゆあさし)
    冬浅し繕へどもう履けぬ足袋
縄跳(なわとび)
    輪に入れる一人縄跳大夕日
河豚(ふぐ)
    河豚提灯食べられし后ひと仕事
茶の花(ちゃのはな)
    刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
茶の花(ちゃのはな)
    刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
柳葉魚(ししゃも)
    七輪の火加減よろし柳葉魚焼く
鷹(たか)
    目指しゆく野原の枯木鷹は待つ
泥鰌掘(どじょうほ)る
    スコップが羊羹如き泥鰌掘る
寝酒(ねざけ)
    寝酒酌むひと時なくも眠りつき
大根(だいこん)
    大根や容易く抜きぬ太くとも
冬の影(ふゆのかげ)
    夏よりも背が高くなり冬の影
小雪(しょうせつ)
    小雪や風呂敷を抱く黒コート
冬眠(とうみん)
    睡魔襲う冬眠のごと入る蒲団
咳(せき)
    すり足で障子がむこう咳ひとつ
巻繊汁(けんちんじる)
    パワーシャベル巻繊汁や人の波
霜月(しもつき)
    雲覆う霜月の朝砂利を踏む
都鳥(みやこどり)
    汽車囲む餌付けが時間都鳥
柿落葉(かきおちば)
    先に降りふわり待ち受け柿落葉







今日の季語 2019-10



赤い羽根(あかいはね)
    おもはゆし小銭が響く赤い羽根
草の穂(くさのほ)
    草の穂の下にみつけぬ我が道よ
落鮎(おちあゆ)
    落鮎や縄張り捨てり旅支度
秋暁(しゅうぎょう・あきのあかつき)
    秋暁や動くものみな静かなり
雁渡し(かりわたし)
    幟立つ祭りの朝は雁渡し
とんぶり
    未だ知らぬとんぶり茶漬け有りや否
秋澄(あきす)む
    騎馬戦や埃おさまり秋澄みぬ
寒露(かんろ)
    目覚め床寒暖混じる寒露かな
薄紅葉(うすもみじ)
    気がつけば仄かな今朝の薄紅葉
無花果(いちじく)
    未だ温し無花果を捥ぐ門の先
身に入(し)む
    身に入むや留守電残る妻が声
鵙・百舌(もず)
    さる踊る幟の天辺鵙の声
菊膾(なます)
    すすむ箸母がおもかげ菊膾
檸檬(れもん)
    ラガー逹檸檬の山を越し次へ
烏瓜(からすうり)
    夕映えに朱き色ます烏瓜
薯蕷汁(とろろじる)
    奉行なり父があれこれ薯蕷汁
夜業(よなべ)
    位置変わる土間が明るく夜業かな
秋日和(あきびより)
    長袖が鍛冶屋の炎秋日より
水澄む(みずすむ)
    水澄みて鮒ひとまわり針の餌
残る虫(のこるむし)
    寂しくも音色正しく残る虫
海蠃廻し(ばいまわし)
    左利き紐巻覚ゆ海蠃廻し
秋深(あきふか)し
    即位の礼しずしず進む深き秋
啄木鳥(きつつき)
    おびただし啄木鳥は彫る枯大木
霜降(そうこう)
    霜降や朝日の透る白き道
鶴来る(つるきたる)
    鶴が来る湖水入れ換え底が見え
菊人形(きくにんぎょう)
    どこからも眼差しあわぬ菊人形
花畑(はなばたけ)
    新聞へ載りて存在花畑
栗飯(くりめし)栗ご飯
    おまちどう年に一度が栗ご飯
末枯(うらがれ)
    末枯や愛でしものとも別れゆく 
胡桃(くるみ)
    姫胡桃登り始めた栗鼠の頬