吊し柿(つるしがき)
吊し柿甘さますます空の青
初猟(はつりょう)
初猟や散弾の雨屋根鳴らす
文化の日(ぶんかのひ)
戦争放棄理念薄れる文化の日
秋寂ぶ(あきさぶ)
秋寂ぶや廊下磨かる糠袋
雪迎へ(ゆきむかえ)
羽風のり朝日に伸びる雪迎へ
酸橘(すだち)
評価にはあまりの酸味酸橘かな
秋惜しむ(あきおしむ)
屋上や緑少なし秋惜しむ
立冬(りっとう)
目に余る食い溜め腹が今朝の冬
鯛焼(たいやき)
行列に加わり並ぶ鯛焼屋
木の葉(このは)
木の葉山一際紅く栞かな
雑炊(ぞうすい)
雑炊に汁も残らぬけふの鍋
木菟(みみずく)
木菟や今宵の居間が静かなり
冬浅し(ふゆあさし)
冬浅し繕へどもう履けぬ足袋
縄跳(なわとび)
輪に入れる一人縄跳大夕日
河豚(ふぐ)
河豚提灯食べられし后ひと仕事
茶の花(ちゃのはな)
刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
茶の花(ちゃのはな)
刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
柳葉魚(ししゃも)
七輪の火加減よろし柳葉魚焼く
鷹(たか)
目指しゆく野原の枯木鷹は待つ
泥鰌掘(どじょうほ)る
スコップが羊羹如き泥鰌掘る
寝酒(ねざけ)
寝酒酌むひと時なくも眠りつき
大根(だいこん)
大根や容易く抜きぬ太くとも
冬の影(ふゆのかげ)
夏よりも背が高くなり冬の影
小雪(しょうせつ)
小雪や風呂敷を抱く黒コート
冬眠(とうみん)
睡魔襲う冬眠のごと入る蒲団
咳(せき)
すり足で障子がむこう咳ひとつ
巻繊汁(けんちんじる)
パワーシャベル巻繊汁や人の波
霜月(しもつき)
雲覆う霜月の朝砂利を踏む
都鳥(みやこどり)
汽車囲む餌付けが時間都鳥
柿落葉(かきおちば)
先に降りふわり待ち受け柿落葉
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