まだ続く頂上の雲の峰
氷室(ひむろ)
土地造成工期遅れる氷室跡
白南風(しろはえ)
白南風や質屋の暖簾はためきて
トマト(とまと)
完熟トマト母の教えは危険なり
夜の秋(よるのあき)
Tシャツや首元のびた夜の秋
広島忌(ひろしまき)
サイレンが急がぬ音色広島忌
夏の果て(なつのはて)「夏の名残」
砂の文字夏の名残の波が消ゆ
立秋(りっしゅう)「今朝の秋」
今朝の秋こむら返りが布団寄せ
長崎忌(ながさきき)
流る空長しサイレン長崎忌
蜩(ひぐらし)「日暮・かなかな」
木から木へ昼間に早しかなかなか
芙蓉(ふよう)
涼まれず芙蓉ふくれど裏を占め
秋日傘(あきひがさ)
紅鼻緒すそがはためく秋日傘
秋日傘(あきひがさ)
紅鼻緒すそがはためく
迎火(むかえび)
燃え具合火と陽のあつく迎火よ
盆の月(ぼんのつき)
背もたれて雨が切れ間の盆の月
敗戦忌(はいせんき)
停車場へ遺骨を嫗敗戦忌
馬追(うまおい)「すいっちょ(ん)」
秋来たと鳴く梁の上すいっちょかな
桃(もも)
触らずも果汁溢るか桃の肌
椋鳥(むくどり)
椋鳥に戸袋とられ白夜かな
律の調(りちのしらべ)
縦笛も律の調を奏でれて
芋虫(いもむし)
落とせどもあっと云う間に芋虫は
椿の実(つばきのみ)
椿落つ花はポタポタ実はポトリ
秋の初風(はつかぜ)「初風・秋初風」
家路道秋の初風冷ます頬
処暑(しょしょ)
靄消えて処暑の汽水湖汽笛聞く
猿酒(さるざけ)
猿酒や辛さも強く腰たたず
山椒の実(さんしょうのみ)
手が届く葉よりも強き山椒の実
秋の蚊(あきのか)
秋の蚊や聞かせし羽音緩やかに
秋鰺(あきあじ)
衣着て秋の小鰺がはじく泡
虫(むし)
むしのよい話に乗りし苦虫を
蘭(らん)
蘭載らぬテレビの上の狭さかな
螻蛄鳴く(けらなく)「地虫鳴く」
朝露に地虫鳴く地に螻蛄がいて
秋湿(あきじめり)
句を書かむチョーク伸びなく秋湿
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