寄せ鍋
寄せ鍋や妻の手の出ぬ奉行が手
冬の波(ふゆのなみ):「寒濤(かんとう)」
低き雲高々飛沫冬の波
手袋(てぶくろ):「手套(しゅとう)」
手袋を見せて太陽指の間に
冬木立(ふゆこだち):「寒林」
透けて空星散りばめて冬木立
炬燵(こたつ)
のぼせ顔吾子かくれんぼ炬燵かな
麦の芽(むぎのめ):「芽麦(めむぎ)」
枯れ畑に麦の芽清し誘ふ触れ
大雪(たいせつ)
大雪や厚手靴下なくて穴
十二月八日(じゅうにがつようか):「開戦日」
防波堤波立つ十二月八日
鱈・雪魚(たら):「真鱈・本鱈・鱈場・鱈網・鱈汁」
夕餉にと鱈の切身を籠に入れ
風邪(かぜ):「感冒・鼻風邪・風邪声(かざごえ)・流感」
夢壊れスマホが具合風邪の声
鮟鱇鍋(あんこうなべ):「鮟鱇汁・きも和え・七つ道具」
鮟鱇鍋大吟醸も燗で添え
猟犬(りょうけん):「狩の犬」
猟犬や本領発揮何を追ふ
枯茨(かれいばら):「茨枯る」
棘開くジーパンをひく枯茨
凍空(いてぞら):「寒空・冬天」
凍空やガラスにありて赤い星
膝掛(ひざかけ):「膝毛布」
膝掛や今朝の冷え込み温き柄
人参(にんじん)
人参のにほひ未の世はびこりか
冷(つめた)し:「底冷え」
弱けれど風の冷しシーパップ
年の内(としのうち):「年内」
締切とせねばならぬが年の内
寒禽(かんきん):「かじけ鳥」
寒禽の群やいずこと鳴き渡り
煤掃(すすはき):「煤払」
風の止み障子外して煤掃きぬ
冬至(とうじ)
皮硬き冬至の南瓜色づけり
飾売(かざりうり):仲冬の生活季語で「注連(しめ)売」
定点の決め場所にゐぬ飾売
風呂吹(ふろふき):「風呂吹大根」
風呂吹や口紅沁みておもひ当て
荒星(あらぼし):「寒星・凍て星・星冴ゆ」
赤き荒星梢が中へひと休み
聖樹(せいじゅ):「クリスマスツリー」
出窓にも小さき聖樹や灯りたり
息白(いきしろ)し:「白息(しらいき)」
先頭の小さき白息汽車ごっこ
室咲(むろざき):「室の花」
室咲や部屋の景色の華やかさ
歳晩(さいばん):「年の暮・年の瀬・年の名残・年尽く」
歳晩や左に電話押す判子
仕事納(しごとおさめ):「御用納・御用終(ごようじまい)」
餅供え仕事納もしまいなり
暦果(こよみは)つ:「古暦・暦古る・暦の末」
人生訓破り棄てられ暦果つ
年の夜(としのよ):「除夜」
耳鳴りも年の夜何処先に去り
今日の季語2020/11月 今日の季語2021/1月
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