赤い羽根(あかいはね)
おもはゆし小銭が響く赤い羽根
草の穂(くさのほ)
草の穂の下にみつけぬ我が道よ
落鮎(おちあゆ)
落鮎や縄張り捨てり旅支度
秋暁(しゅうぎょう・あきのあかつき)
秋暁や動くものみな静かなり
雁渡し(かりわたし)
幟立つ祭りの朝は雁渡し
とんぶり
未だ知らぬとんぶり茶漬け有りや否
秋澄(あきす)む
騎馬戦や埃おさまり秋澄みぬ
寒露(かんろ)
目覚め床寒暖混じる寒露かな
薄紅葉(うすもみじ)
気がつけば仄かな今朝の薄紅葉
無花果(いちじく)
未だ温し無花果を捥ぐ門の先
身に入(し)む
身に入むや留守電残る妻が声
鵙・百舌(もず)
さる踊る幟の天辺鵙の声
菊膾(なます)
すすむ箸母がおもかげ菊膾
檸檬(れもん)
ラガー逹檸檬の山を越し次へ
烏瓜(からすうり)
夕映えに朱き色ます烏瓜
薯蕷汁(とろろじる)
奉行なり父があれこれ薯蕷汁
夜業(よなべ)
位置変わる土間が明るく夜業かな
秋日和(あきびより)
長袖が鍛冶屋の炎秋日より
水澄む(みずすむ)
水澄みて鮒ひとまわり針の餌
残る虫(のこるむし)
寂しくも音色正しく残る虫
海蠃廻し(ばいまわし)
左利き紐巻覚ゆ海蠃廻し
秋深(あきふか)し
即位の礼しずしず進む深き秋
啄木鳥(きつつき)
おびただし啄木鳥は彫る枯大木
霜降(そうこう)
霜降や朝日の透る白き道
鶴来る(つるきたる)
鶴が来る湖水入れ換え底が見え
菊人形(きくにんぎょう)
どこからも眼差しあわぬ菊人形
花畑(はなばたけ)
新聞へ載りて存在花畑
栗飯(くりめし)栗ご飯
おまちどう年に一度が栗ご飯
末枯(うらがれ)
末枯や愛でしものとも別れゆく
胡桃(くるみ)
姫胡桃登り始めた栗鼠の頬
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