9/20/2021

今日の季語 2020-07

今日の季語 2020-07



辣韮(らっきょう)
    デミジョンボトル漬けし辣韮一個ずつ
魚簗・簗(やな)
    銀輪をなりて子供に簗の上
吊忍・釣忍 (つりしのぶ)
    吊忍外から観たく止むを待ち
簾(すだれ)
    沈む日や巻き揚ぐ簾紐重し
南瓜の花(かぼちゃのはな)
    露踏みて南瓜の花を探す朝
梅雨空(つゆぞら)
    ジェットコースター今梅雨空のてっぺんに
小暑(しょうしょ)
    寝覚め床汗もかかずに小暑かな
団扇・団(うちわ)
    風を切るあおぐ団扇ぞ闇の中
青田(あおた)
    父を追ふペダルの重き青田道
辱暑(じょくしょ)
    なにもかも洪水奪ふ辱暑かな 
汗拭ひ(あせぬぐい)
    手をのばし風に乗りゆく汗拭ひ
送り梅雨(おくりづゆ)
    東京タワー赤よみがえり送り梅雨
冷酒(ひやざけ・れいしゅ)
    海の青けふが釣果や冷酒つぐ
烏賊釣(いかつり)
    こうこうと海なめらかに烏賊釣火
熱帯魚(ねったいぎょ)
    泡弾き静寂のなき熱帯魚
冷麦(ひやむぎ)
    冷麦や父がこだわり茹で加減
紙魚・衣魚(しみ)
    現行犯糊の食み跡紙魚がいて
睡蓮(すいれん)
    睡蓮の葉も焼け熱き池の水
白鷺(しらさぎ)
    じっといて白鷺一羽岸辺にて
月下美人(げっかびじん)
    月下美人視線逸らせば開ききり
雲海(うんかい)
    雨上がり雲海が上友と逢ふ
天瓜粉・天花粉(てんかふん)
    あやし声まだら模様が天花粉
海水浴(かいすいよく)
    水着が闊歩海水浴が見える街
端居(はしい)
    照らす庭柱背にして端居かな
夕焼(ゆうやけ・ゆやけ)
    自販機や新発売誘う夕焼
キャンプ:「キャンプファイヤー・キャンプ村・テント・オートキャンプ」
    不機嫌めくキャンプの朝のむくれ顔
大暑(たいしょ)
    一枚減り大暑の午前葉書書き
日焼け(ひやけ)
    歯が白き鏡が中の日焼け顔
蚊遣火(かやりび)
    蚊遣火や伸びる一筋夕静か
跣足・裸足(はだし):「はだ(肌)あし(足)」「素足」
    熱き砂丘裸足で登る中田島
夜釣(よづり)「夜釣火・夜釣舟」
    大物としびれる竿と夜釣かな
涼(すず)み「涼む」
    じっとせず川辺に求む夕涼み

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今日の季語 2020-06


今日の季語 2020-06



薔薇(ばら)
    水切りて一日伸びる薔薇が首
夏服(なつふく)
    カシミアの朝の夏服抜ける風
代田(しろた)
    風静か代田がうつす逆さ富士
蠅(はえ)
    待ての声涎垂らして蠅睨む
芒種(ぼうしゅ)
    こんこんと芒種の水や湧き出でり 
葛練(くずねり)
    葛練やとまる吾子の目浮く景色
蟷螂(とうろう・かまきり)生まる
    シュミレーション蟷螂の子切る空気
栗の花(くりのはな)
    傘の夜鼻を曲げるか栗の花  
河鹿(かじか)
    夕暮れや暑さも招く河鹿鳴く
五月(皐月)富士(さつきふじ)
    東へ走るボンネットの皐月富士
茄子の花(なすびのはな)
    棘らしい茄子の花に近付けば
梅雨(つゆ・ばいう)
    何もかもべとっとしたり梅雨の今朝
焼酎(しょうちゅう)
    焼酎の梅割溢る縄のれん 
蝉生(せみうま)る
    蝉生るスローモーション朝ドラマ
破れ傘(やぶれがさ)
    経を読む小坊主一人破れ傘
海亀(うみがめ)
    海亀や重い足跡ならす波
釣り堀(つりぼり)
    釣り堀や大声出さず二メートル 
ギヤマン・切り子・ビードロ
    怖々とギヤマン切り口撫でしども
明易し(あけやすし)明早し・明急ぐ
    CPAP唇明けて明易し
南天の花(なんてんのはな)
    南天の花越して生垣朝日受く
夏至(げし)
    布団どこ肌の冷たい夏至の朝
桑の実(くわのみ)
    染める口食い放題が桑の実が
藻の花(ものはな)
    首を出し息継ぎ藻の花せわしけり
青蛙(あおがえる)
    逃げ込めど背中丸見え青蛙
蛍(ほたる)
    解き放す蚊帳の中舞ふ初蛍
梅雨寒(つゆざむ)
    梅雨寒や振り払い乗る終電車
昼顔(ひるがお)
    庭の端あるじゐぬ昼顔の色
苔茂(こけしげ)る
    樹形より褒める緑の苔茂る
さくらんぼ
    さくらんぼ口の動きや午如し
蚤(のみ)
    ぴょんぴょんと蚤を見つけて掛け布団

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今日の季語 2020-05

今日の季語 2020-05
 


八十八夜(はちじゅうはちや)
    かをり占む八十八夜のお茶工場
明日葉(あしたば)
    明日葉やおひたし似合う夕餉皿
松の緑摘む(まつのみどりつむ)
    揺れ脚立指は松脂緑摘む
行く春(ゆくはる)
    ゆく春やスーツケースの重きこと
立夏(りっか)
     大忙し立夏の朝の大寝坊
卯月(うづき)
    朝曇り脛の冷たき卯月かな
苗売(なえうり)
    並ぶ穴苗売を待つのばす腰
麦飯(むぎめし・むぎいひ)
    麦飯や箸からこぼる粒を噛む
新樹(しんじゅ)
    こぼる光新樹が山へ未知の道 
青葉潮(あおばじお)
    赤鳥居光も流る青葉潮
鹿の子(しかのこ・かのこ)
    角につく鹿の子三匹けもの道
薪能(たきぎのう)
    あの人が声音新た薪能
泉(いずみ)
    三密を守りて泉しし集う
萍(うきくさ)
    萍や櫓音がリズム響く朝
祭(まつり)
    トンチンシャン祭囃子が京都駅
竹落葉(たけおちば)
    抜け道や隠して見せぬ竹落葉
芍薬(しゃくやく)
    芍薬や一株自慢父が植ふ
鵜飼(うかい)
    見たくなし他人の仕事鵜飼かな
水中花(すいちゅうか)
    いつまでも萎れを知らぬ水中花
小満(しょうまん)
    小満や棚田に映る空の青
麦の秋風(むぎのあきかぜ) 麦の秋風
    顔で受く麦の秋風背伸びして
毛虫(けむし)
    毛を吹かせ毛虫が速き木登りよ
空豆・蚕豆(そらまめ)
    蚕豆剥く莢の重さや実の重さ
麦刈(むぎかり)
    弟うしろ母と競いて麦刈りぬ
苺(いちご)
    植ふ苺友食わずして居ぬるとは
鮑・鰒(あわび)
    裏隠す光る七色鮑かな
雛罌粟(ひなげし)
    雛罌粟や吾子の暴投花弁よ
朴の花(ほおのはな)
    梢より芳香おろす朴の花
晶子忌(あきこき)
    晶子忌や煮込む餡子の緑色
青嵐(あおあらし)
    投げてみる往還の石青嵐
蕗(ふき)
    戯れに蕗をかぶりて雨の道

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今日の季語 2020-04

今日の季語 2020-04



シクラメン
    シクラメン残るセロハン色褪せて
熊穴を出づ(くまあなをいず)
    寝ぼけ顔熊穴を出づ鮭の稚児
北窓開く(きたまどひらく)
    北窓を開く眩い朝日枝に鳴く
清明(せいめい)
    清明の朝足が出ている手も出でて
若草(わかくさ)
    若草や触りたくなる揃い方
入学(にゅうがく)
    入学祝父のうんちくコードバン
レタス
    冷蔵庫好きになれないレタスかな
花疲(はなづかれ)
    人知れぬベストポジションへ花疲
落し角(おとしづの)
    角落ちて優し眼差し若草山
蛤(はまぐり)
    蛤の紐食べ集む貝合わせ
日永(ひなが)
    中田島日永数える波の音
落花(らっか)「花吹雪」「花散る」「花埃(はなぼこり)」
    落花絨毯宅配便は踏む通り
啄木忌(たくぼくき)
    日記帳白きを捲る啄木忌
桜蝦(さくらえび)
    赤絨毯拡げ振り撒く桜蝦
アスパラガス
    家庭菜園アスパラガスを手始めに
蛙の目借り時(かわずのめかりどき)
    第百条声が遠のく目借り時
草餅(くさもち)
    熱々のきな粉もかをる草の餅
鳥曇(とりくもり)
    群なす赤い風船鳥曇
穀雨(こくう)
    痩せ畑芋の芽伸びる穀雨かな 
春の川(はるのかわ)
    春の川振り返りゆく妻看れず
囀(さえずり)
    いろいろな鎮守の森が囀よ
春暑し(はるあつし)
    右頬へ噴水かかる暑し春
畦青む(あぜあおむ)
    畦青むどこまでも青帰り道
野遊(のあそび)
    誘えないひとり野遊つづく夢
独活(うど)
    地下室へ照らす白肌独活高し
藤(ふじ)
    高貴な色絨毯を敷く藤の下
鐘供養(かねくよう)
    雑音消ゆ音消える迄鐘供養
春鰯(はるいわし)
    会いに来る群れの先頭春鰯
踏青(とうせい)
    電波塔頂目指し青き踏む 
荷風忌(かふうき)
    縄暖簾冷えた肴が荷風の忌

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今日の季語 2020-03

今日の季語 2020-03




恋猫(こいねこ)
    恋猫の声今宵は遠き相手なり
春光(しゅんこう)
    春光やそこここ光る庭の朝

 
雛飾り(ひなかざり)
    緋毛氈魔除け眩い雛飾り 
まんさく
 訪ね人あのまんさくとイーゼルを
啓蟄(けいちつ)
    啓蟄や大戸開ければ待つやきみ
雪解(ゆきどけ)
    雪解を汚れ熊笹待ちて立ち
木の芽(このめ)
    摘み集む木の芽ご飯がかをる朝 
春場所(はるばしょ)
    春場所や大関とりとなりやいな
受験生(じゅけんせい)
    朝日受け黙し一列受験生
春の月(はるのつき)
    甘そうな舌伸ばしたし春の月
海豹(あざらし)
    海豹の欠伸に拍手人の山
水取(みずとり)
    水取はけふ目に浮かぶ散る火の粉
垣繕ふ(かきつくろう)
    垣繕ふ結び目かたく波打ちて
種選(たねえらび・たねより) 
    盆かしげ豆がコロコロたねよりぬ
雪解雫(ゆきげしずく)
    甍より雪解雫が穴続き
柳絮(りゅうじょ)
    棚田道一筋となり柳絮かな
春社(しゅんしゃ)
    パラパラと忘れず降らす春社の日 
蟻穴を出づ(ありあなをいず)
    大慌て蟻穴を出づ殺虫剤
韮(にら)
    レバ韮や大人となりたよいかをり
春分(しゅんぶん)
    春分や祝詞をながす雨つよし
彼岸西風(ひがんにし)
    玉串を持ち去らぬかと彼岸西風
春の雲(はるのくも)
    春の雲鳥飛去りて広き湖
観潮(かんちょう)
    観潮船流さる筋を逃げる舵 
野蒜(のびる)
    泥を塗る畦跳ね返す野蒜かな
春の夢(はるのゆめ)
    吟行へ忘れし春の夢
海明(うみあけ)
    海明がく来る軋む音遠ざかる
苗木市(なえぎいち)
    いつ頃が食べ頃なのか苗木市
蕨狩(わらびがり)
    マークせど辿り着けない蕨狩
雪崩(なだれ)
    雪崩の音朝の微睡煙草の火
春装(しゅんそう)春服(はるふく・しゅんぷく)
    コート脱ぐ恥かみみせる春の服
引鴨(ひきがも)鴨帰る
    鴨帰る湖が広さや餌重し

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今日の季語 2020-02


牡蠣剥(かきむ)く
    殻放る白き軍手が牡蠣を剥く
春待つ(はるまつ)
    春待つも冷たき鳴るやけふの雨
追儺(ついな)
    父の背や追儺が列をそつと見て
立春(りっしゅん)
    立春や一粒があり座敷かな
堅雪(かたゆき)
    堅雪や昨夜が句会下駄の跡
栄螺(さざえ)
    禄剛の日差しをうけて栄螺丼
焼野(やけの)
    踏み入ればふわりと舞うや焼野かな
遅春(ちしゅん)
    偏西風へそ曲げ寒し遅春かな
凧(たこ)
    縛り忘れ糸は出てゆく凧はゆく
海苔掻き(のりかき)
    海苔掻きや手口目耳と波の息
二月(にがつ)
    餅もなくパンがおいしい二月かな
菜の花忌(なのはなき)
    ゆったりと暗闇帰る菜の花忌
鶯餅(うぐいすもち)
    白餡を鶯餅に包む母
白魚(しらうお)
    半透明白魚泳ぐガラス鉢
絵踏(えぶみ)
    壁飾る黒づむまわり絵踏かな
種芋(たねいも)
    芽を出さぬ日待つ種芋土の中
春淡し(はるあわし)
    墨香るけふから習ふ春淡し
藪椿(やぶつばき)
    古より丘に一本藪椿
雨水(うすい)
    教室の書初め外す雨水かな
田螺和(たにしあえ)
    薄曇りバケツ一杯田螺和
梅(うめ)
    いつ咲かぬ梅戸惑いし温し日々
春の鹿(はるのしか)
    足並みを揃えて奈良へ春の鹿
蜆汁(しじみじる)
    味噌の香に負けたり今朝の蜆汁
春の空(はるのそら)
    彼女去る堤が上春の空
剪定(せんてい) 
    自分流剪定鋏いれ過ぎて
春の土(はるのつち)
    やわらかく鍬を迎える春の土
白子干(しらすぼし)
    白子干いきが良いやつこぼれ出て
春炬燵(はるごたつ)
    靴下脱げ春炬燵の脚脛毛抜け
古巣(ふるす)
    電線鳴く鴉が古巣声合わし

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今日の季語 2020-01



初東雲(はつしののめ)
    列なして初東雲が坂登り
初夢(はつゆめ)
    初夢や叶わぬ体跳び廻る
雑煮祝ふ(ぞうにいわう)
    焦げ目つけ三つ葉もかをる雑煮かな
鏡餅(かがみもち)
    搗きあがる鏡餅より丸めたり
破魔弓・浜弓(はまゆみ)
    ガラス拭く破魔弓奏でオルゴール
小寒(しょうかん)
    小走りて小寒の朝ゴミ袋
松納(まつおさめ)
    今日からは元の生活松納め
寒鯉(かんごい)
    寒鯉や傾き泳ぐ狢川
手毬(てまり)
    母は巻くガラスケースへ手毬かな
重ね着(かさねぎ)
    重ね着て健やか素振り痩せ身かな
新海苔(しんのり)
    新海苔や昔が香る朝餉かな
寒風(かんぷう)
    寒風やたたく雨戸は不審者か
氷柱(つらら)
    洞窟の氷柱半分折れていて
粥施行(かゆせぎょう)
    列の先湯気立ち上る粥施行
風巻(しまき)「雪しまき」「しまき雲」
    雪しまき灯す一部屋揺れし影
湯冷(ゆざ)め
    読み終えて蒲団引っぱる湯冷めかな
寒土用(かんどよう)
    波打ち際音も聞こえぬ寒土用
凍滝(いてだき)
    凍滝や記事に誘われ山入れど
紙漉(かみすき)
    天井へ雪光さす紙漉場
大寒(だいかん)
    底冷え無し手も温かき大寒日
寒鴉(かんがらす)
    一羽だけ夕空西へ寒鴉
冬深し(ふゆふかし)
    直立し物みな硬し冬深し
狩人(かりうど)
    脱走獣狩人の銃街に出る
鎌鼬(かまいたち)
    身構えて指先念じ鎌鼬
寒蜆(かんしじみ)
    寒蜆じやりといわぬ噛み心地  
葉牡丹(はぼたん)
    葉牡丹や三年ぶりの四人組 
霜(しも)
    霜よけのプロペラ光るお茶畑
昴(すばる)
    我はゆく昴流るるレコード屋
氷湖(ひょうこ)
    お元気ですか幸せですか氷湖にて
臘梅・蠟梅(ろうばい)
    昇る陽や花弁透ける蠟梅よ
手足荒(てあしあ)る
    新妻や主婦に変わりて手足荒る

今日の季語 2019-12



火の番(ひのばん)
    上弦や遠くから響く火の番の柝
日向ぼこ(ひなたぼこ)
    愛犬と背に受け読書日向ぼこ
冬の雨(ふゆのあめ)
    温暖化激し降りでも冬の雨
屏風(びょうぶ)
    屏風美人顔を背けてあがりはな
海豚(いるか)
    水平線海豚は跳ねるシルエット
牡蠣(かき)
    羽根の味焦げた小麦粉牡蠣ソテー
大雪(たいせつ)
    一人減る大雪の日電話かな
笹鳴(ささなき)
    生垣や笹鳴わたる影ひとつ 
ならい
    ならいやむ風紋かわる中田島
    横に越すホイールカバーならい追ふ
冬景色(ふゆげしき)
    風荒るる風紋流る冬景色
水洟(みずばな)
    正常に観察出来ぬ水洟よ
冬の浜(ふゆのはま)
    ランデブー鳥舞い上がる冬の浜
鴛鴦(おしどり)
    鴛鴦や前に後ろとかごのなか
冬の服(ふゆのふく)
    いつまでもはたけば匂ふ冬の服
雪吊(ゆきつり) 
    照らし出す雪吊白き今朝の庭
葱鮪(ねぎま)
    味噌仕立て丼どんと葱鮪かな
歳暮祝(せいぼいわい)
    初めての歳暮祝は忙しくも
歳暮祝(せいぼいわい)
    初めての歳暮祝は忙しくも
冬の空(ふゆのそら)
    白き雲浮かびて流る冬の空
枯葉(かれは)
    枯葉舞う十字路真ん中人を待つ
賀状書く(がじょうかく)
    賀状書くだけの友また一人減り
潤目鰯(うるめいわし
    服へにも潤目鰯の煙染む
冬至(とうじ)
    冬至の朝鋏をいれる冷たい実
名の草枯る(なのくさかる)
    蔦枯るや変わらぬ配置寺の紅
ポインセチア
    ポインセチア在庫一掃模様替え
聖菓(せいか)
    食べてみるチョコのカード聖菓かな
年の瀬(としのせ)
    年の瀬や子年が暦土管積み
社会鍋(しゃかいなべ)
    暗闇に囲む人いる社会鍋
冬の星(ふゆのほし)
    きらめく赤梢の上に冬の星
古日記(ふるにっき)
    コーラス部声の変わりが古日記
年惜しむ(としおしむ)
    片付けの煙真っ直ぐ年惜しむ

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今日の季語 2019-11



吊し柿(つるしがき)
    吊し柿甘さますます空の青
初猟(はつりょう)
    初猟や散弾の雨屋根鳴らす
文化の日(ぶんかのひ)
    戦争放棄理念薄れる文化の日
秋寂ぶ(あきさぶ)
    秋寂ぶや廊下磨かる糠袋
雪迎へ(ゆきむかえ)
    羽風のり朝日に伸びる雪迎へ
酸橘(すだち)
    評価にはあまりの酸味酸橘かな
秋惜しむ(あきおしむ)
    屋上や緑少なし秋惜しむ
立冬(りっとう)
    目に余る食い溜め腹が今朝の冬
鯛焼(たいやき)
    行列に加わり並ぶ鯛焼屋
木の葉(このは)
    木の葉山一際紅く栞かな
雑炊(ぞうすい)
    雑炊に汁も残らぬけふの鍋
木菟(みみずく)
    木菟や今宵の居間が静かなり
冬浅し(ふゆあさし)
    冬浅し繕へどもう履けぬ足袋
縄跳(なわとび)
    輪に入れる一人縄跳大夕日
河豚(ふぐ)
    河豚提灯食べられし后ひと仕事
茶の花(ちゃのはな)
    刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
茶の花(ちゃのはな)
    刈り込まれ中へひっそりとお茶の花
柳葉魚(ししゃも)
    七輪の火加減よろし柳葉魚焼く
鷹(たか)
    目指しゆく野原の枯木鷹は待つ
泥鰌掘(どじょうほ)る
    スコップが羊羹如き泥鰌掘る
寝酒(ねざけ)
    寝酒酌むひと時なくも眠りつき
大根(だいこん)
    大根や容易く抜きぬ太くとも
冬の影(ふゆのかげ)
    夏よりも背が高くなり冬の影
小雪(しょうせつ)
    小雪や風呂敷を抱く黒コート
冬眠(とうみん)
    睡魔襲う冬眠のごと入る蒲団
咳(せき)
    すり足で障子がむこう咳ひとつ
巻繊汁(けんちんじる)
    パワーシャベル巻繊汁や人の波
霜月(しもつき)
    雲覆う霜月の朝砂利を踏む
都鳥(みやこどり)
    汽車囲む餌付けが時間都鳥
柿落葉(かきおちば)
    先に降りふわり待ち受け柿落葉







今日の季語 2019-10



赤い羽根(あかいはね)
    おもはゆし小銭が響く赤い羽根
草の穂(くさのほ)
    草の穂の下にみつけぬ我が道よ
落鮎(おちあゆ)
    落鮎や縄張り捨てり旅支度
秋暁(しゅうぎょう・あきのあかつき)
    秋暁や動くものみな静かなり
雁渡し(かりわたし)
    幟立つ祭りの朝は雁渡し
とんぶり
    未だ知らぬとんぶり茶漬け有りや否
秋澄(あきす)む
    騎馬戦や埃おさまり秋澄みぬ
寒露(かんろ)
    目覚め床寒暖混じる寒露かな
薄紅葉(うすもみじ)
    気がつけば仄かな今朝の薄紅葉
無花果(いちじく)
    未だ温し無花果を捥ぐ門の先
身に入(し)む
    身に入むや留守電残る妻が声
鵙・百舌(もず)
    さる踊る幟の天辺鵙の声
菊膾(なます)
    すすむ箸母がおもかげ菊膾
檸檬(れもん)
    ラガー逹檸檬の山を越し次へ
烏瓜(からすうり)
    夕映えに朱き色ます烏瓜
薯蕷汁(とろろじる)
    奉行なり父があれこれ薯蕷汁
夜業(よなべ)
    位置変わる土間が明るく夜業かな
秋日和(あきびより)
    長袖が鍛冶屋の炎秋日より
水澄む(みずすむ)
    水澄みて鮒ひとまわり針の餌
残る虫(のこるむし)
    寂しくも音色正しく残る虫
海蠃廻し(ばいまわし)
    左利き紐巻覚ゆ海蠃廻し
秋深(あきふか)し
    即位の礼しずしず進む深き秋
啄木鳥(きつつき)
    おびただし啄木鳥は彫る枯大木
霜降(そうこう)
    霜降や朝日の透る白き道
鶴来る(つるきたる)
    鶴が来る湖水入れ換え底が見え
菊人形(きくにんぎょう)
    どこからも眼差しあわぬ菊人形
花畑(はなばたけ)
    新聞へ載りて存在花畑
栗飯(くりめし)栗ご飯
    おまちどう年に一度が栗ご飯
末枯(うらがれ)
    末枯や愛でしものとも別れゆく 
胡桃(くるみ)
    姫胡桃登り始めた栗鼠の頬




今日の季語 2019-9



風の盆(かぜのぼん)   
     風にも君の香偲ぶ風の盆
荻の声(おぎのこえ)「荻の風」「荻吹く」
    まがりみち追い越していく荻の風
秋(あき)めく「秋づく」「秋じむ」
    草縛る秋めく道の罠の跡
衣被(きぬかつぎ)
    笊いっぱい茹でたて捧ぐ衣被
鶺鴒(せきれい)
    鶺鴒や距離確かめ振り返り
霧(きり)
    年一度浮き立ちカメラ朝の霧
芭蕉(ばしょう)
    芭蕉が影陽射し逃れて蟻もいて
白露(はくろ)
    白々と散歩がつとめ白露踏む
葡萄(ぶどう)
    歯がしみる冷凍葡萄舌の上
女郎花(おみなえし)
    迎え待つホーム短し女郎花
秋の蝶(あきのちょう)
    余裕あり翅緩やかな秋の蝶
待宵(まつよい)
    家事かまけ待宵気分阻む壁
月見(つきみ)
    月見たり荒野の果てに昇らんと・
小鳥(ことり) 「小鳥くる・小鳥渡る」
    小鳥来る今朝の餌場囀りぬ
白粉花(おしろい・おしろいばな)
    白粉花やもめ屋敷が好みらし
秋の灯(あきのひ)
    秋の灯に記す手帖は単価のみ
馬肥(うまこ)ゆ
    馬肥ゆる道一筋草原へ
菊(きく)
    菊造り母の趣味飽き蘭育て
鳥威(とりおどし)
    鳥威背にし縄張り見張りたり
われから
    水さわぐわれから揺れるめだかかな
初鴨(はつかも)
    空映す初鴨おりし荒れ野池
鰯雲(いわしぐも) 
    トライなるポールを見せる鰯雲
秋分(しゅうぶん)
    色濃くす秋分の雨裾の色
鯊(はぜ)
    餌が前へ近眼の鯊飛びつきぬ
竜淵に潜む(りゅうふちにひそむ)
    水鎮まる竜淵に潜む丸い石
稲架(はざ・はず)
    組み上げし稲架より飛ばすグライダー
秋麗(あきうらら・しゅうれい)
    転移なし富士山見えてあきうらら
太刀魚(たちうお・たちのうお)
    銀光り振り回したし太刀魚よ
竜胆(りんどう)
    竜胆摘む草原変わる大型店
濁酒(にごりざけ)
    ゆき付けりいろいろ試飲濁酒



今日の季語 2019-7



梔子の花(くちなしのはな)
    道すがら梔子の花垣根越し
梅雨雷(つゆかみなり)
    遠くから待つ音が来る梅雨の雷
風鈴(ふうりん)「風鈴売」
    騒がしく風鈴売が田舎道
葭切(よしきり)「行々子(ぎょうぎょうし)・大葭切・小葭切」
    鳴き声や葭切一羽飛ぶ河原
アロハシャツ「アロハ」
    アロハシャツ行ったり来たり門の前
朝顔市(あさがおいち)
    朝顔市手をあげる吾子背比べ
小暑(しょうしょ)「晩夏・暑中」
    レース傘小暑の道他人なり
雨蛙(あまがえる)
    雨蛙田んぼ星降る大合唱
四万六千日(しまんろくせんにち)「鬼灯市(ほおずきいち)」
    テレビでは鬼灯市は雨知らず
蛞蝓(なめくじ)「なめくぢり・なめくぢら」
    ぬめり跡なめくじ登るガラス窓
胡瓜(きゅうり)
    書き取り帳胡瓜で覚ゆ爪に点
夏料理(なつりょうり) 
    赤青とそうめん子らに夏料理
井守・蠑螈(いもり)「赤腹」
    触られぬいもりが腹の毒々し
蟹(かに)「沢蟹・川蟹」
    沢蟹や逃げ足速し重い石
羽抜鳥(はぬけどり)
    羽抜鳥歩きその先飛び立ちて
閻魔参(えんままいり)
    閻魔参ベビーブームが出口数
海月(くらげ)
    潮満ちる海月が知らす流れかな
夏帽子(なつぼうし)「麦藁帽(むぎわらぼう)・パナマ帽」
    麦藁帽子顎紐しめて坂降りん 
時計草(とけいそう)
    ガラス靴鐘が休みと時計草
浴衣(ゆかた)
    注染が色涼しげな浴衣かな
夏燕(なつつばめ)
    道端に夏燕一羽水たまり
凌霄花(のうぜんか)「蔓」「のうぜん・のうぜんかずら」
    日曜学校迎えし門に凌霄花
大暑(たいしょ)
    フルパワー太陽発揮大暑かな 
河童忌(かっぱき)
    河童忌や赤いコウモリ大流れ 
向日葵(ひまわり)
    向日葵やむこうが見えて迷路かな
片陰(かたかげ)片かげり・夏陰
    人が来る我は右側片かげり
甲虫(かぶとむし)     甲虫マッチの車がギコギコと
滝(たき)
    滝を背に揃ひて二人水浴びぬ
灼(や)く
    石灼けてぴょんぴょん跳ねて天竜川
梅雨明(つゆあけ)「梅雨あがる」
    肌熱い梅雨明の風吹く窓辺 
涼し(すすし)
    涼しさや点滴が針打ち直し


今日の季語 2019-8




雲の峰(くものみね)
    まだ続く頂上の雲の峰
氷室(ひむろ)
    土地造成工期遅れる氷室跡
白南風(しろはえ)
    白南風や質屋の暖簾はためきて
トマト(とまと)
    完熟トマト母の教えは危険なり
夜の秋(よるのあき)
    Tシャツや首元のびた夜の秋
広島忌(ひろしまき)
    サイレンが急がぬ音色広島忌
夏の果て(なつのはて)「夏の名残」
    砂の文字夏の名残の波が消ゆ
立秋(りっしゅう)「今朝の秋」
    今朝の秋こむら返りが布団寄せ
長崎忌(ながさきき)
    流る空長しサイレン長崎忌
蜩(ひぐらし)「日暮・かなかな」
    木から木へ昼間に早しかなかなか
芙蓉(ふよう)
    涼まれず芙蓉ふくれど裏を占め
秋日傘(あきひがさ)
    紅鼻緒すそがはためく秋日傘
秋日傘(あきひがさ)
    紅鼻緒すそがはためく
迎火(むかえび)
    燃え具合火と陽のあつく迎火よ
盆の月(ぼんのつき)
    背もたれて雨が切れ間の盆の月
敗戦忌(はいせんき)
    停車場へ遺骨を嫗敗戦忌
馬追(うまおい)「すいっちょ(ん)」
    秋来たと鳴く梁の上すいっちょかな
桃(もも)
    触らずも果汁溢るか桃の肌
椋鳥(むくどり)
    椋鳥に戸袋とられ白夜かな
律の調(りちのしらべ)
    縦笛も律の調を奏でれて
芋虫(いもむし)
    落とせどもあっと云う間に芋虫は
椿の実(つばきのみ)
    椿落つ花はポタポタ実はポトリ
秋の初風(はつかぜ)「初風・秋初風」
    家路道秋の初風冷ます頬
処暑(しょしょ)
    靄消えて処暑の汽水湖汽笛聞く
猿酒(さるざけ)
    猿酒や辛さも強く腰たたず
山椒の実(さんしょうのみ)
    手が届く葉よりも強き山椒の実
秋の蚊(あきのか)
    秋の蚊や聞かせし羽音緩やかに
秋鰺(あきあじ)
    衣着て秋の小鰺がはじく泡
虫(むし)
    むしのよい話に乗りし苦虫を
蘭(らん)
    蘭載らぬテレビの上の狭さかな
螻蛄鳴く(けらなく)「地虫鳴く」
    朝露に地虫鳴く地に螻蛄がいて
秋湿(あきじめり)
    句を書かむチョーク伸びなく秋湿