9/20/2021

今日の季語 2019-7



梔子の花(くちなしのはな)
    道すがら梔子の花垣根越し
梅雨雷(つゆかみなり)
    遠くから待つ音が来る梅雨の雷
風鈴(ふうりん)「風鈴売」
    騒がしく風鈴売が田舎道
葭切(よしきり)「行々子(ぎょうぎょうし)・大葭切・小葭切」
    鳴き声や葭切一羽飛ぶ河原
アロハシャツ「アロハ」
    アロハシャツ行ったり来たり門の前
朝顔市(あさがおいち)
    朝顔市手をあげる吾子背比べ
小暑(しょうしょ)「晩夏・暑中」
    レース傘小暑の道他人なり
雨蛙(あまがえる)
    雨蛙田んぼ星降る大合唱
四万六千日(しまんろくせんにち)「鬼灯市(ほおずきいち)」
    テレビでは鬼灯市は雨知らず
蛞蝓(なめくじ)「なめくぢり・なめくぢら」
    ぬめり跡なめくじ登るガラス窓
胡瓜(きゅうり)
    書き取り帳胡瓜で覚ゆ爪に点
夏料理(なつりょうり) 
    赤青とそうめん子らに夏料理
井守・蠑螈(いもり)「赤腹」
    触られぬいもりが腹の毒々し
蟹(かに)「沢蟹・川蟹」
    沢蟹や逃げ足速し重い石
羽抜鳥(はぬけどり)
    羽抜鳥歩きその先飛び立ちて
閻魔参(えんままいり)
    閻魔参ベビーブームが出口数
海月(くらげ)
    潮満ちる海月が知らす流れかな
夏帽子(なつぼうし)「麦藁帽(むぎわらぼう)・パナマ帽」
    麦藁帽子顎紐しめて坂降りん 
時計草(とけいそう)
    ガラス靴鐘が休みと時計草
浴衣(ゆかた)
    注染が色涼しげな浴衣かな
夏燕(なつつばめ)
    道端に夏燕一羽水たまり
凌霄花(のうぜんか)「蔓」「のうぜん・のうぜんかずら」
    日曜学校迎えし門に凌霄花
大暑(たいしょ)
    フルパワー太陽発揮大暑かな 
河童忌(かっぱき)
    河童忌や赤いコウモリ大流れ 
向日葵(ひまわり)
    向日葵やむこうが見えて迷路かな
片陰(かたかげ)片かげり・夏陰
    人が来る我は右側片かげり
甲虫(かぶとむし)     甲虫マッチの車がギコギコと
滝(たき)
    滝を背に揃ひて二人水浴びぬ
灼(や)く
    石灼けてぴょんぴょん跳ねて天竜川
梅雨明(つゆあけ)「梅雨あがる」
    肌熱い梅雨明の風吹く窓辺 
涼し(すすし)
    涼しさや点滴が針打ち直し


今日の季語 2019-8




雲の峰(くものみね)
    まだ続く頂上の雲の峰
氷室(ひむろ)
    土地造成工期遅れる氷室跡
白南風(しろはえ)
    白南風や質屋の暖簾はためきて
トマト(とまと)
    完熟トマト母の教えは危険なり
夜の秋(よるのあき)
    Tシャツや首元のびた夜の秋
広島忌(ひろしまき)
    サイレンが急がぬ音色広島忌
夏の果て(なつのはて)「夏の名残」
    砂の文字夏の名残の波が消ゆ
立秋(りっしゅう)「今朝の秋」
    今朝の秋こむら返りが布団寄せ
長崎忌(ながさきき)
    流る空長しサイレン長崎忌
蜩(ひぐらし)「日暮・かなかな」
    木から木へ昼間に早しかなかなか
芙蓉(ふよう)
    涼まれず芙蓉ふくれど裏を占め
秋日傘(あきひがさ)
    紅鼻緒すそがはためく秋日傘
秋日傘(あきひがさ)
    紅鼻緒すそがはためく
迎火(むかえび)
    燃え具合火と陽のあつく迎火よ
盆の月(ぼんのつき)
    背もたれて雨が切れ間の盆の月
敗戦忌(はいせんき)
    停車場へ遺骨を嫗敗戦忌
馬追(うまおい)「すいっちょ(ん)」
    秋来たと鳴く梁の上すいっちょかな
桃(もも)
    触らずも果汁溢るか桃の肌
椋鳥(むくどり)
    椋鳥に戸袋とられ白夜かな
律の調(りちのしらべ)
    縦笛も律の調を奏でれて
芋虫(いもむし)
    落とせどもあっと云う間に芋虫は
椿の実(つばきのみ)
    椿落つ花はポタポタ実はポトリ
秋の初風(はつかぜ)「初風・秋初風」
    家路道秋の初風冷ます頬
処暑(しょしょ)
    靄消えて処暑の汽水湖汽笛聞く
猿酒(さるざけ)
    猿酒や辛さも強く腰たたず
山椒の実(さんしょうのみ)
    手が届く葉よりも強き山椒の実
秋の蚊(あきのか)
    秋の蚊や聞かせし羽音緩やかに
秋鰺(あきあじ)
    衣着て秋の小鰺がはじく泡
虫(むし)
    むしのよい話に乗りし苦虫を
蘭(らん)
    蘭載らぬテレビの上の狭さかな
螻蛄鳴く(けらなく)「地虫鳴く」
    朝露に地虫鳴く地に螻蛄がいて
秋湿(あきじめり)
    句を書かむチョーク伸びなく秋湿



今日の季語 2019-6

 今日の季語 2019-06


南風(みなみ)「大南風(おおみなみ)」「はえ」「まじ」 
    おっぽ切れクルクルと凧大南風 
甘酒(あまざけ)
    甘酒やひとまわりコップも大きくなり
蛇苺(へびいちご)
    毒々し毒見躊躇う蛇苺 
蜘蛛の糸(くものいと)
    風に乗せ何処につかん蜘蛛の糸
竹の皮脱ぐ(たけのかわぬぐ)
    一本だけ竹の皮脱ぐ素肌色
芒種(ぼうしゅ)
    紅い裾芒種の歌風に乗せ
鴫焼茄子(しぎやきなす)「鴫焼」「焼茄子」「茄子焼く」
    僕しやうが母はしやうゆ茄子を焼く
五月雨(さみだれ)
    五月雨やめだかが描く甕の波
額の花(がくのはな)「額紫陽花」
    跳ね返す小粒の雨を額の花
蝙蝠(こうもり)「かはほり」「蚊食い鳥」
    投げあげる帽子で捕らえ蝙蝠ぞ
枇杷(びわ):仲夏の植物季語
    木の上へ採れ立てを知る枇杷の味
夏帯(なつおび)「単帯(ひとえおび)」
    夏帯の色浮き立つか藍ゆかた
鴨足草(ゆきのした)「雪の下」「虎耳草」
    庭石の影からスックと鴨足草
梅雨の星(つゆのほし)
    梅雨の星牧場でさがす二人ゐて
金亀子(こがねむし)「黄金虫・かなぶん」
    あわれ大豆群れ喰い尽くす黄金虫
父の日(ちちのひ)
    父の日のらしきことなき夕餉かな
蛇衣を脱ぐ(へびきぬをぬぐ)「蛇の衣・蛇の皮」
    胸どっくん草むらにある蛇の皮
夏鴨(なつがも)「鴨涼し・軽鴨(かるがも)」
    夏鴨や潜りて冷やす毛繕い
滴(したた)り
    通学路しらず手で受く滴りよ
岩魚(いわな)
    縄のれん岩魚焼く香に飛びこまん
花菖蒲(はなしょうぶ)「野花菖蒲・菖蒲園・菖蒲池・菖蒲見」
    棚田にも雨粒撥ねる菖蒲池
夏至(げし)
    湿り気が図書館の夏至どことなく
花葵(はなあおい)
    高く向け雨が似合わぬ花葵
水鉄砲(みずでっぽう)
    盥から狙い定めて水鉄砲
烏賊(いか)「するめ烏賊・やり烏賊」
    究極の烏賊の料理やリング揚げ  
石(柘)榴の花(ざくろのはな)「花石榴」
    口紅の色より紅き石榴咲く
昼寝(ひるね)「午睡(ごすい)・三尺寝(さんじゃくね)」 
    太鼓腹大波小波昼寝かな
洗膾(あらい)「洗鯉」
    雨上がり笊をはみ出す洗い鯉
螻蛄(けら)「おけら」
    こんくらいおけら拡げる我せがれ
夏の川(なつのかわ)「夏川(河)・夏河原」
    泳ぎたし熱い石跳び夏河原



今日の季語 2019-5

 今日の季語 2019-05



風船(ふうせん)
    風船を飛び放す地へ辿り着き
春駒(はるごま・はるこま)
    春駒や駆ける牧場の草葉追う
どんたく
    どんたくの掛け声合わせ膝をうつ
苗代(なわしろ)「苗田(なえだ)」
    三人で苗田七枚作りけり 
端午(たんご)
    凧屋台練りとまるまる端午かな
立夏(りっか)「夏立つ」「夏来たる」「今朝の夏」
    雨戸開く庭の眩しく今朝の夏
筍飯(たけのこめし)
    竹じゃんか硬く噛めれぬ筍飯
水馬(あめんぼ)
    水たまり風に逆らうあめんぼう
松落葉(まつおちば)
    松落葉かぶせ完成落とし穴
草笛(くさぶえ)
    雲もない草笛聞こゆ帰り道
レース
    ラヂオ聴く母は休まずレース編み
母の日(ははのひ)
    母の日をも知らぬ嫁をさと躾
若葉(わかば)「柿若葉」「藤若葉」
    柿若葉日ごと広がる雨宿り
風薫(かぜかお)る
    風薫る曲がりて拗る田圃道
木下闇(こしたやみ)「下闇」「青葉闇」「木暮(こぐれ)」
    木下闇クマザサ覆う秘密基地
翡翠(かわせみ)「ひすい」
    翡翠や網フェンスから川面へと
虎魚(おこぜ)
    釣り上げた虎魚毒もつ背びれ切る
青蔦(あおつた)「蔦茂る」「蔦青し」
    蔦茂るぼろやにはない蔦の下
ソーダ水(すい)「曹達水」「炭酸水」
    ソーダ水クリームを染む泡の音
郭公(かっこう)「閑古鳥」
    郭公こだま返しが尾瀬ケ原
小満(しょうまん)
    小満そろそろ出番傘が待つ
冷蔵庫(れいぞうこ)
    冷蔵庫上に豊かさ何もない
目高(めだか)
    目高飼う残る三匹めざし丈
天道虫(てんとうむし)「てんとむし」
    天道虫強さ示さぬ星の数
ビール(麦酒)「生ビール」「ビヤホール」
    美味いとは一気飲み干せる生ビール
鰹(かつお)
    鰹切る素早くもぐるアニキサス
草刈(くさかり)「草刈る」「草刈鎌」「草刈機」 
    何かいる草刈はじめこわごわと
山椒魚(さんしょううお)「はんざき」
    山椒魚背中に流るる水清し
万緑(ばんりょく)
    万緑やバス停だけの吸われ音 
老鶯(おいうぐいす)
    老鶯割れ始めたり谷の底
蜜豆(みつまめ)
    蜜豆や数量限定黒い豆

 

今日の季語 2019-4

 今日の季語 2019-04


山椒(さんしょう)の芽
    たわむれに鼻つくにほひ山椒の芽
孕雀(はらみすずめ)
    庭を掃く孕雀が舞いあがり
春の山(はるのやま)
    泥まみれ草たち始め春の山
黄水仙(きずいせん)
    群れの中一株高く黄水仙
清明(せいめい)
    清明や道はじめて友の家
桜(さくら)
    桜ふれ姫様ながむ奴踊り
花篝り(はなかがり
    花篝り並べ暮れるを待つ時計
花冷(はなびえ)
    花冷と吹雪をあびる薄い茣蓙
螢烏賊(ほたるいか)
    群れ成してわが身晒すか蛍烏賊
若芝(わかしば)
    スライディング若芝に頬ボール蹴る
炉塞(ろふさぎ)
    炉塞て一本残る自在鉤
柳(やなぎ)
    順々と枝垂柳が風見える
畑打(はたうち)
    畑打や父振り上げし四本鍬
山吹(やまぶき)
    豪奢な家花は山吹抱え出て
梅若忌
    父なき子牛引っ張り出す梅若忌
蓬(よもぎ)
    頼られて杵振り上げて蓬色
春眠(しゅんみん)
    春眠や牛もつられて「モー」と鳴く
春深(はるふか)し
    春深し海老獲る帆掛け波たてず
桜餅(さくらもち)
    誰ぞくふ葉だけ一枚桜餅
穀雨(こくう)
    柔らかき草が剣先穀雨かな 
雲丹(うに)
    棚隅の雲丹のふりかけ売り切れて
菫(すみれ)
    咲いて待つ菫一輪金時山
細螺(きさご・きしゃご)「ながらみ貝」
    三本鍬細螺も光る畑おこす
望潮(しおまねき)
    ラヴレター砂に書いたは潮まねき
芝桜(しばざくら)
    芝桜咲く日いくつも晴れ続く
鯥五郎(むつごろう)
    泥撥ねる雲なし空と鯥五郎
ゴールデンウィーク「黄金週間」
    ゴールデンウィーク凧一色が他知らず 
開帳(かいちょう)
    直虎の拝す仏が御開帳
満天星の花(どうだんのはな)「満天星」「どうだんつつじ」
    天に伸ぶどうだんつつじの花の数
ボートレース「競漕(きょうそう)」
    光り浴び競漕する水しぶき



 

今日の季語 2019-3

 今日の季語 2019-03


三月(さんがつ)
    暦めくる三月の風頬撫でる
芹(せり)
    囲われて芹摘む拒む香ぞ知れず
雛祭(ひなまつり)
    もうせんの赤い記憶が雛祭
巣箱(すばこ) 
    居心地か巣箱作りが左右して
謝肉祭(しゃくにくさい)「カーニバル」
    色とりどり羽根を揺らしてカーニバル 
啓蟄(けいちつ)
    掘り進む光が見えた啓蟄日
東風(こち)
    東風吹けば匂い新たなランドセル 
流氷(りゅうひょう)「氷流る」
    流氷や布団にとどく音堅く
椿餅(つばきもち)
    盗み食い数が少なく椿餅
三月十日(さんがつとおか)
    忘るまじ三月十日震災を
海雲(もずく)
    急ぐ朝ちょこ一杯海雲吸う
眼張(めばる)
    夕飯は揚げた眼張と一夜漬け 
凍解(いてどけ)
    笹倒す凍解の水緑なり
蕨(わらび)
    はね遊ぶ美味いおかずが蕨とは
芦の角(あしのつの)「蘆は角ぐむ 」
    踏み入れぬ遠回りする芦の角
鳥雲(とりくも)に「鳥雲に入る」
     鳥雲にランドセル負う孫も行く
水温(みずぬる)む
    水温む誰ぞ突っつき水濁る
鳥交(とりさか)る「鳥交(つる)む」「鳥の恋」 
    雲去りて川の向こうの鳥交る
蓴生(ぬなわお)う
    操る魯冷たさこらえ蓴生う
木の実植(このみう)う
    草いきれ平らな畝に木の実植う
春分(しゅんぶん)「中日」「春分の日」
    春分の日傘打つ音も静かなり
卒業(そつぎょう)「卒業式」
    人生に卒業ないと父云う
雪の果(ゆきのはて)「雪の別れ」「名残の雪」
    羽根が舞う名残の雪がバス停に
遍路(へんろ) 
    海辺にも玉石つづく遍路道
摘草(つみくさ)
    草を摘む退けし枯草土手の上
鶯(うぐいす)
    鶯やいっぱい吸いて囀りぬ
接木(つぎき)
    種なくも子孫増やすや接木なり
風光(かぜひか)る
    風光る遥か見え分く家の楠
連翹(れんぎょう)
    連翹この道知らぬ人にあう
田螺(たにし)
    長靴に小さなスコップ田螺掘る
花種蒔(はなだねま)く「花種」「種(を)蒔く」
    花夢見耕作放置種を蒔く




今日の季語 2019-2

 今日の季語 2019-02




春近(はるちか)し
    春近し床暖スイッチ入れ忘れ
煮凝(にこごり)
    煮凝や箸から逃げる舌がいき
探梅(たんばい)
    探梅や行き着く先に棚田あり
立春(りっしゅん)「春立つ・春来る」
    春来る床暖房「切」として
寒明(かんあけ)「寒明く・寒過ぐ」
    背が伸びた夜明けの足も寒明ける
公魚(わかさぎ)
    ルアー選び公魚が群れ散り逃げし
春椎茸(はるしいたけ)
    ずる休み春椎茸をわたす朝
海猫渡(ごめわた)る
    雲低し礼文が浜へ海猫渡る
早春(そうしゅん)
    早春の日柳皮剥きチャンバラ
犬(いぬ)ふぐり
    踏みいれどマーキングせぬ犬ふぐり
春の雪(はるのゆき)
    春の雪終わる季節に追われ降り
蜆(しじみ)
    蜆打つ鍋の音聴く朝餉かな 
余寒(よかん)
    バスタオル水滴残る余寒かな
バレンタインの日
    バレンタインの日他人事ではすまされず
海苔(のり)「海苔干す」
    笑みかえすきみの八重歯に海苔光る
菠薐草(ほうれんそう)
    菠薐草湯がいて刻む太い腕
蕗味噌(ふきみそ)「蕗の薹(とう)」
    吾子も年蕗味噌食すさりきらひ
芝焼(しばや)く
    奈良にいて芝焼く見れぬ花火の音
雨水(うすい)
    インフルエンザ流し消したる雨水かな
椿(つばき)
    裏池や落つる椿が描く波紋
若布(わかめ)
    若布盛りトマトをそえて上に旗
春の星(はるのほし)
    ポケットから手の離れる春の星
飯蛸(いいだこ)
    飯蛸やつぶつぶつぶす味しらず
猫柳(ねこやなぎ)
    猫柳そこを基地にし歓声を
暖(あたた)か
    昼ラーメンシャツ脱ぐ程暖かく
薔薇の芽(ばらのめ)
    薔薇の芽や棘添え育つ美しく
浅蜊(あさり)「浅蜊汁・浅蜊飯」
    浅蜊汁嫌いになる毎朝で
耕(たがやし)「耕す・春耕・耕人」
    掛けてある父耕した四本鍬



今日の季語 2019-1

 今日の季語 2019-01



初茜(はつあかね)
    後を追う背中のむこう初茜
初湯(はつゆ)
    さぶご立つ静かにはいる初湯かな
年賀(ねんが)
    年賀の列平成最後テレビ見て
四日(よっか)
    四日はや常着が色も新しく
初硯(はつすずり)
    初硯かほり吸い込みむかう紙
小寒(しょうかん)
    豊作を田めぐり願う小寒
七種(ななくさ)
    七種摘み指が冷たき耳摘まむ
餅間(もちあい)
    餅間の菜のみそ汁の香りよく
冬鳥(ふゆどり)
    冬鳥も押し合い圧し合い日向ぼこ
ストーブ
    白い湯気ストーブで干すギブスなり
風花(かざはな)
    光り射す風花わたる棚田かな
冬菫(ふゆすみれ)
    冬菫枯れ草はねし一株ぞ
寒稽古(かんげいこ)
    堤の下しるこが香る寒稽古
悴(かじか)む
    綺麗な手悴む花屋温む色
雪女(ゆきおんな)
    雪女電車の中水びたし
竹馬(たけうま)
    竹馬や馬より悪し乗り心地
阪神淡路震災忌(はんしんあわじしんさいき)「関西震災忌」「阪神忌」
    阪神忌遠くにありも強きゆれ
鰰(はたはた)
    秋田より鰰捌く嫁のうで
樹氷(じゅひょう)
    樹氷や芸術的な風任せ
大寒(だいかん)
    大寒や夜道見えない息遣い
水仙(すいせん)
    まず最初水仙の花庭を占め
寒晴(かんばれ)
    寒晴て温し日当たり背を向けて
寒中水泳(かんちゅうすいえい)
    寒中水泳防寒コート岸で待ち
冬籠(ふゆごもり)
    探索や押入れの基地冬籠
納豆(なっとう)
    藁にくるみ母が納豆の不味きなり
梟(ふくろう)
    裸電球繕う母と梟と
冬の蝿(ふゆのはえ)
    冬の蝿集う一部屋むしとして(虫・無視)
雪兎(ゆきうさぎ)
    踏みしだく会わせぬ妻が雪兎
冬灯(ふゆともし)
    遥か先冬灯あり我が家あり
凍鶴(いてづる)
    凍鶴の突然動き引きつるか
冬芽(ふゆめ)
    冬芽の木今朝の出来映え真をいけ
  
  



今日の季語 2018-12

今日の季語 2018-12



冬鴎(ふゆかもめ) 
  波打ち際二人が上の冬鴎 
蟷螂枯(とうろうか)る 
   蟷螂枯る吾残りけりと緑葉よ 
八手の花(やつでのはな) 
  八手の花実るを待ちて竹鉄砲 
蕪(かぶ)
  蕪香る妻が味噌汁葉もありし 
湯豆腐(ゆどうふ)
  湯豆腐や大人の味の柚木を知り 
神迎(かみむかえ) 
   神迎枕ぞ高しいのこ様 
大雪(たいせつ) 
  大雪や下駄音高くひとり行く 
火事(かじ) 
  防音窓火事は遠くになりにけり 
漱石忌(そうせきき) 
  先生と葉笛が聞こゆ漱石忌 
冬日和(ふゆびより) 
  紙飛行機ハズより飛ばす冬日和 
マスク
  顔半分マスクが効果美女度あげ 
鯨(くじら) 
  目を凝らす水平線に鯨の尾 隙間風(
すきまかぜ)
   隙間風老け壁白しコーキング 
鋤焼(すきやき) 
  七輪を囲む八人鋤焼す 
落葉(おちば・らくよう) 
  ジャンプして落葉集めしさつま床 
障子(しょうじ) 
  通信簿障子むこう開く父 
羽子板市(はごいたいち) 
  羽子板市飛び上がり吾子顔真似す 
年忘れ(としわすれ) 
  餃子屋へ下戸が年忘れなんとなく 
湯婆(たんぽ) 
  妹から一つの湯婆待つ足ぞ 
鮃(ひらめ) 
  舌鮃レシピにそいて揚げどもが 
短日(たんじつ) 
  短日やカラスも急ぐ子の元へ 
冬至(とうじ) 
  質問は冬至何回迎えたか 
着脹(きぶく)れ 
  着脹れか見分けが出来ぬ肥満体 
古暦(ふるごよみ) 
  古暦裏白刻みくだくや句 
クリスマス 
  クリスマス覚ゆ讃美歌カード得し 
年用意(としようい) 
  サッシ窓まるく拭いたる年用意 
日記買ふ(にっきかう) 
  来年は書き尽くすぞと日記買ふ 
御用納(ごようおさめ) 
  御用納一課全員ぞろぞろと 
行く年(ゆくとし) 
  行く年やすることもなく忙しき 
年の暮(としのくれ) 
  忙しさマッハ20の年の暮 
晦日蕎麦(みそかそば) 
  晦日蕎麦母が湯切りの光る跡






今日の季語 2018-11

今日の季語 2018-11



落花生(らっかせい) 
    落花生殻と皮あり読書なり 
楓(かえで) 
    森林公園楓のいろと気にせども 
冬隣(ふゆとなり)
    冬隣穴の靴下繕わず 
銀杏(ぎんなん)「銀杏(いちょう)の実」
    銀杏があるかどうかと茶碗蒸し 
山粧ふ(やまよそう) 
    天井板山粧ふころ観れぬとは 
行く秋(ゆくあき) 
    行く秋や線路の光り山麓へ  
立冬(りっとう)
    立冬ながらおしゃれ着まようこの温さ 
海鼠(なまこ) 
    通学路朝日を返す海鼠壁 
木の葉(このは) 
    木の葉積むフワフワ弾むさつま床 
冬の虫(ふゆのむし)
    冬の虫小さく跳びて葉の陰へ 
山茶花(さざんか)
    山茶花を眺めた庭も跡になり 
神の旅(かみのたび)
     神の旅ひとり鎮座す竹藪に 
冬(ふゆ)めく「冬兆(きざ)す」
    冬めくや鍛冶屋の親父汗もなく 
兎(うさぎ)
     故郷のみやげ兎の味噌漬と 
七五三(しちごさん)「千歳飴」
    千歳飴なかみ少なし大袋 
鮟鱇(あんこう)
    鮟鱇鍋味わう残り野菜だけ 
冬紅葉(ふゆもみじ) 
    辻のさき思いもよらぬ冬紅葉 
焼藷(やきいも) 
    籾火鉢焼藷探るやけ火箸 
小春(こはる)「小六月」「小春日」
    小春日や障子をはずし大掃除  
鴨(かも)「鴨打ち」「鴨鍋」
    ゲン担ぎ部屋の料理は鴨鍋と 
葱(ねぎ)「根深(ねぶか)」
    寝かせ植え根深が手入れ数多き 
小雪(しょうせつ) 
    小雪や大根照らす夜中道 
木守(きまもり/こもり) 
    木守や峠で夕日受け光り 
滑子(なめこ)
    料理下手味噌ネギだしで滑子汁 
蒲団(ふとん)
    効果ない蒲団たたきが〆であり 
おでん
    夕ご飯伝授の味おでんなり 
熱燗(あつかん) 
    チャイム鳴り熱燗ぞ待つ赤暖簾 
石蕗の花(つわぶき)
     石蕗の花咲きし岩陰かの家も 
竈猫(かまどねこ)
    どこから来た母より早き竈猫 
南天の実(なんてんのみ) 
    寄せ植えから大きくなりて南天の実



今日の季語 2018-10

今日の季語 2018-10



夜長(よなが)
     佐伯読破予定たてたし夜長かな  
唐辛子(とうがらし) 
    技術革命香り奪いし南蛮も   
溢蚊(あぶれか)
     溢蚊や破れ障子にしがみつき 
貝割菜(かひわりな) 
    シート剥ぐ黒土びっしり貝割菜 
金木犀(きんもくせい)
     金木犀倒され負けじ香出す 
灯火親(とうかした)しむ「読書の秋」 「灯火の秋」
     灯火の秋山脈となる未読本 
秋高(あきたか)し 
    秋高し赤松の山狩りにゆく 
寒露(かんろ) 
    足の裏滑りて知るは寒露の日 
秋渇(あきがわき) 
    秋渇かしこみて見せ釜の底 
秋思(しゅうし)「秋懐」「秋さびし」
    秋さびし障子に映る虫喰い葉 
新酒(しんしゅ) 
    酵母かえ飲み心地よき新酒うり 
石榴(ざくろ)
    赤らめど我が家の石榴落ちにけり 
敗荷(やれはす)破れ蓮(やれはちす)
    破れ蓮水抜けし端二~三本 
稲刈(いねかり) 
    担ぎあげ切り口香る稲束を 
瓢の実(ひょんのみ) 
    瓢の実合図まだかと子らの耳 
茸狩(たけがり)「茸取」「茸山」
    杉の葉をしきしかご手に茸山へ 
重陽(ちょうよう) 
    重陽やご馳走と出すまぜごはん 
団栗(どんぐり)
    団栗坂行商人が足太し 
青蜜柑(あおみかん)
    盗み入る酸っぱく後悔青蜜柑 
そぞろ寒(さむ)
    襟足の刈り上げ美人そぞろ寒 
後の月(のちのつき)「十三夜」
    十三夜別れ惜しんで綺麗ねと 
秋草(あきくさ) 
    活けられし懸崖があう秋の草 
霜降(そうこう) 
    霜降の日繕い忘れ足袋を出し 
熊の架(くまのたな)
    尾瀬ケ原遠くむさぼる熊の架 
紫式部(むらさきしきぶ)「実紫(みむらさき)」
    牛乳瓶誰が挿したか実紫 
秋刀魚(さんま) 
    味貧乏秋刀魚の苦さ根の辛さ 
藤の実(ふじのみ)
     藤の実や一つ残され棚高し 
新蕎麦(しんそば)
     父蒔きし新蕎麦挽きてお供えに 
暮の秋(くれのあき)
     暮の秋火のない火鉢すみありて 
残菊(ざんぎく)
     残菊や色は変われど変わらぬ香 
渡り鳥(わたりどり) 
    渡り鳥旭が画面立見席






今日の季語 2018-9

今日の季語 2018-9



二百十日(にひゃくとおか) 
    二百十日謎の足跡飛び飛びに 
赤(あか)まんま
     赤まんま手入れ怠る庭占拠  
案山子(かかし)
     案山子より烏の格好効果あり 
桐一葉(きりひとは)
     桐一葉芝生の青き公園で 
蚯蚓鳴(みみずな)く
     耳鳴りと思い紛いし蚯蚓鳴く 
花野(はなの) 
    ブラ歩き曲がればそこに花野あり 
相撲(すもう) 
    相撲授業柔道室で雨の日の 
白露(はくろ) 
    白露なり莫々歩く堤道(つつみみち)
 野分(のわき) 
    稔る田を一筋通す野分あと 
竹の春(たけのはる) 
    竹の春おつかいの道さやか音 
蟋蟀(こおろぎ) 
    藁の下蟋蟀の群れひそみ居り 
秋色(しゅうしょく)
     秋色の四谷棚田にもや流る 
野菊(のぎく)
     花束に野菊集めに高原に 
秋の田(あきのた)
     晩稲田や一枚青し真ん中に 
芋(いも)    
    芋の露転がり消える小宇宙 
弓張月(ゆみはりづき)
     弓張月向こうの花火の上にあり 
敬老の日(けいろうのひ)
     敬老の日会いたくもない義理のなか 
秋の潮(あきのしお)
     誰もいない海唄う気にする秋の潮 
秋鯖(あきさば)
     秋鯖で芋の味まし底になり 
コスモス
     カメラどこコスモス一本背を伸ばし 
蛇穴に入る(へびあなにいる)
     蛇穴に入るボール手探り草の奥  
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
     郷のみち夕日に匂う曼珠沙華 
秋彼岸(あきひがん)
     秋彼岸同窓会化郷の墓地  
今日の月(きょうのつき)
     綺麗ねと別れしな云う今日の月  
冷(ひや)やか 秋冷
     冷(ひや)やかと素足は知らずスリッパ履き 
釣瓶落(つるべおと)し
     釣瓶落しきみの瞳を染めにけり  
燕帰(つばめかえ)る「秋燕」「帰燕」
     屋根の下群れて鳴きあう秋燕 
秋曇(あきぐもり)
     秋曇滑る下駄脱ぎ足袋を履き 
紫蘇の実(しそのみ)
     紫蘇の実や愛妻弁当隅を占め  
鶏頭(けいとう)
     風吹くな鶏頭は明日残したし







今日の季語 2018-8

今日の季語 2018-8



振舞水
    振舞水コンコンと湧く錆鉄管
夏暖簾
    里帰り風呂敷が引く夏暖簾 
天牛  
    かみきりむし闇の草むらジジと聞き  
朝焼[あさやけ]
    朝焼や見えた我が家雲谷に建つ 
風死(かぜし)す
    バケツ水かぜしす庭の砂埃 
砂日傘[すなひがさ]
    たつてない影なき昼の砂日傘 
夏菊(なつぎく)
    コバルトブルー占めて夏菊たち揃い 
梅干(うめぼし)
    喰うものは梅干と飯あとは白湯
    梅干や干してピークを越すを知り
    手造りと味噌と梅干挑む腕 
蚊(か) 
    飛んでいる姿は見える聞こえぬ蚊 
打水(うちみず) 
    日は西へ打水の痕跳び渡り 
原爆忌(げんばくき)原爆の日 
    原爆の日冷え冷え響く鐘の音 
立秋(りっしゅう)「今朝の秋」
    エアコンフィルター表示が示す今朝の秋 
西瓜(すいか)
    投げ入れるバケツ水でも西瓜の音 
別烏(わかれがらす)「烏の子別れ」
    振り向かぬ烏の子別れしばし追い 
鳳仙花(ほうせんか) 
    紅色で庭を覆いし鳳仙花 
流れ星(ながれぼし) 
    仰ぎ見る空占め長し流れ星
    歩く先流れ星落ち何あらむ 
糸瓜(へちま)
    どぶ創る美女肌磨く糸瓜かな 
新涼(しんりょう)
     新涼の旅帰るいえには未だ来ぬ 
新生姜(しんしょうが) 
     新生姜砂を噛まぬか目を皿に 
終戦記念日(しゅうせんきねんび)「終戦日」「敗戦忌」
     終戦記念日知らぬ世代知るサイレン 
灯籠流(とうろうながし)
     灯籠流し風に流れに行く末を 
残暑(ざんしょ)
     立舞の梵天揺れど残暑あり 
朝顔(あさがお) 
     朝顔も見る事できた今朝の足 
蟷螂(かまきり)
    地に落ちた蟷螂が振る斧虚し
    蟷螂山青空似合ふ斧が色 
鰯(いわし)
    わた抜けぬ鰯の刺身知らぬ味
    味貧乏鰯捌けず長し爪  
自然薯(じねんじょ) 
    自然薯擂れ鯖だしとれと蘊蓄を 
踊(おどり)
    青竹を立てた踊り場夜を待ち 
処暑(しょしょ)
     処暑の庭耳曲げ子犬迷い込み 
盆の月(ぼんのつき) 
    病癒え亜子抱き上げし盆の月
    過ぎた渦雲間に覗く盆の月 
    手を握る君の瞳に盆の月 
    仰け反った喉元照らす盆の月 
木槿(むくげ)
    父植しでかい木姿木槿咲き 
蓑虫(みのむし) 
    絶滅危惧種いにし蓑虫今いずこ 
枝豆(えだまめ)
    枝豆に虫はいないか舌探り
    枝豆から大豆に育つこの季節 
秋の雷(あきのらい) 
    蚊帳がない何処へ隠れる秋の雷 
蛁蟟(つくつくぼうし)
     蛁蟟数を減らして何急ぐ 
梨(なし)
    パンパンの袋の梨が垂れ並ぶ 
    梨狩りや袋の中を手探りし